消滅時効について
原子力損害賠償請求権の消滅時効について
原子力損害賠償については、不法行為による損害賠償請求権の期間の制限について規定している民法第724条が適用されると解されていますが、議員立法により「東日本大震災における原子力発電所の事故により生じた原子力損害に係る早期かつ確実な賠償を実現するための措置及び当該原子力損害に係る賠償請求権の消滅時効等の特例に関する法律(原賠時効特例法)」が平成25年12月11日に施行されたことにより、今回の福島原発事故による原子力損害賠償請求権の消滅時効期間は「損害及び加害者を知った時から10年」、除斥期間は「損害が生じた時から20年」となりました。
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原賠時効特例法 |
参考(民法第724条) |
消滅時効 |
損害及び加害者を知った時から10年 |
損害及び加害者を知った時から3年 |
除斥期間 |
損害が生じた時から20年 |
不法行為の時から20年 |
※ 民法の一部を改正する法律(R2.4.1施行予定)により、これまで除斥期間とされていた不法行為債権に関する長期20年の期間制限(民法第724条)について、時効期間であることが明記されました。
なお、施行日前に生じた特定原子力損害(福島原発事故)に係る賠償請求権についても改正民法を適用する措置が講じられています。
また、平成25年6月5日に「東日本大震災に係る原子力損害賠償紛争についての原子力損害賠償紛争審査会による和解仲介手続の利用に係る時効の中断の特例に関する法律(原賠ADR時効中断特例法)」が施行され、原子力損害賠償紛争解決センター(ADRセンター)による和解の仲介が打切りになった場合に、その通知を受けた日から1か月以内に裁判所に訴えを提起すれば、ADRセンターに和解の仲介を申し立てた時に裁判所に訴えの提起があったものとみなすことができるようになりました。(時効中断の特例)
その後、原子力損害の賠償に関する法律(原賠法)が改正(平成30年12月12日公布)され、改正原賠法にも同様の規定が設けられたことから、現在は改正原賠法が適用されることになります。
文部科学省ホームページ(原子力損害賠償請求権の消滅時効への対応について)へのリンク
福島県原子力損害対策協議会では、東京電力に対し、時効が完成したとしても、将来にわたって消滅時効を援用しないことを具体的かつ明確に示すよう、また、請求がお済みでない方に対して徹底した周知活動を行うよう繰り返し要求してきました。
これを受け、東京電力は、令和元年11月18日の福島県原子力損害対策協議会の要求活動に対し、時効完成後も最後の一人まで賠償を貫徹する旨を表明しています。
令和元年11月18日の福島県原子力損害対策協議会の要求活動の結果概要 [PDFファイル/915KB]
その後、東京電力は、令和3年4月21日に認定された「特別事業計画」に、「賠償請求において、時効を理由に一律にお断りすることはせず、時効完成後であっても被害者の方々の個々の御事情について十分に配慮しつつ、引き続き真摯に対応し、最後の1人まで賠償貫徹する」旨を明記しました。
東京電力ホームページ(賠償関連プレスリリース)へのリンク
一方で、事故から時間が経過するにつれて、損害を証明する書類などが集めづらくなったり散逸してしまったりしてしまうおそれがあります。
損害賠償請求がまだお済みではない方におかれましては、賠償請求に向けて、県や関係機関の相談事業をぜひご利用ください。