土壌汚染対策の概要
土壌汚染対策法の概要
土壌汚染対策法が改正され、平成29年5月19日に公布されました。
改正土壌汚染対策法は2段階で施行され、第1段階目が平成30年4月1日に、第2段階目が平成31年4月1日に施行されました。
主な改正内容は、
1 土壌汚染状況調査の実施対象の拡大
2 汚染の除去等の措置内容に関する汚染除去等計画の提出命令の創設等
3 リスクに応じた規制の合理化
などです。
「土地の形質の変更時の届出について」 [PDFファイル/784KB]を参照してください。
○土壌汚染状況調査等の契機
1 有害物質使用特定施設の廃止(法第3条)
使用が廃止された有害物質使用特定施設に係る工場または事業場の敷地であった土地の所有者等は、この土地の土
壌の汚染状況を指定調査機関に調査させて、その結果を都道府県知事に報告しなければなりません。
ただし、この土地の利用方法から人の健康に係る被害が生ずるおそれがない旨の都道府県知事の確認を受けた場合
を除きます(法第3条第1項ただし書)。
土壌汚染状況調査が一時的免除中の土地(法第3条第1項ただし書の確認を受けた土地)に対して、一定規模(900平方メートル)以上の形質変更を行う場合、事前の届出が必要になりました。
また、当該届出を行った上で、土壌汚染状況調査が必要になります。
2 一定規模以上の土地の形質変更(法第4条)
一定規模以上((1)、(2))の土地の形質変更をしようとする場合は、形質変更に着手する日の30日前までに都道府県知事に届出をしなければなりません。
(1) 有害物質使用特定施設を設置している工場・事業場の敷地又は使用が廃止された有害物質使用特定施設に係る工場・事業場の敷地については、900平方メートル以上の形質変更を行う場合
(2) 3,000平方メートル以上の土地の形質変更を行う場合
届出を受けた都道府県知事は、この土地が特定有害物質によって汚染されているおそれがあると認めるときは、この
土地の所有者等に対し、この土地の土壌の汚染状況を指定調査機関に調査させて、その結果を都道府県知事に報告す
べきことを命ずる場合があります。
3 土壌汚染による健康被害のおそれのある土地の調査(法第5条)
都道府県知事は、土壌汚染により人の健康に係る被害が生ずるおそれがある土地であると認めるときは、この土地の
所有者等に対し、この土地の土壌の汚染状況を指定調査機関に調査させて、その結果を都道府県知事に報告すべきこ
とを命ずる場合があります。
4 自主調査による区域指定の申請(法第14条)
土地の所有者等は、自主的に土壌調査を実施した結果、指定基準(土壌溶出量基準、土壌含有量基準)に適合しない
と思料するときは、都道府県知事に対し、この土地にの区域について要措置区域等の指定することを申請することができ
ます。
○要措置区域、形質変更時要届出区域
・ 土壌汚染状況調査等の結果、土壌の汚染状態が指定基準に適合しない土地は、「要措置区域」または「形質変更時要
届出区域」に指定されます。
○指定基準
特定有害物質 |
指定基準 |
|||
---|---|---|---|---|
土壌溶出量基準(mg/L) |
土壌含有量基準(mg/kg) |
|||
第一種特定有害物質 |
四塩化炭素 |
0.002 以下 |
- |
|
1,2-ジクロロエタン |
0.004 以下 |
- |
||
1,1-ジクロロエチレン |
0.1 以下 |
- |
||
1,2-ジクロロエチレン |
0.04 以下 |
- |
||
1,3-ジクロロプロペン |
0.002 以下 |
- |
||
ジクロロメタン |
0.02 以下 |
- |
||
テトラクロロエチレン |
0.01 以下 |
- |
||
1,1,1-トリクロロエタン |
1 以下 |
- |
||
1,1,2-トリクロロエタン |
0.006 以下 |
- |
||
トリクロロエチレン |
0.01 以下 |
- |
||
ベンゼン |
0.01 以下 |
- |
||
クロロエチレン |
0.002 以下 |
- |
||
第二種特定有害物質 |
カドミウム及びその化合物 |
0.003 以下 |
45 以下 |
|
六価クロム化合物 |
0.05 以下 |
250 以下 |
||
シアン化合物 |
検出されないこと |
50 以下 (遊離シアンとして) |
||
水銀及びその化合物 |
0.0005 以下 |
15 以下 |
||
水銀及びその化合物のうちアルキル水銀 |
検出されないこと |
|||
セレン及びその化合物 |
0.01 以下 |
150 以下 |
||
鉛及びその化合物 |
0.01 以下 |
150 以下 |
||
砒素及びその化合物 |
0.01 以下 |
150 以下 |
||
ふっ素及びその化合物 |
0.8 以下 |
4,000 以下 |
||
ほう素及びその化合物 |
1 以下 |
4,000 以下 |
||
第三種特定有害物質 |
シマジン |
0.003 以下 |
- |
|
チオベンカルブ |
0.02 以下 |
- |
||
チウラム |
0.006 以下 |
- |
||
ポリ塩化ビフェニル |
検出されないこと |
- |
||
有機りん化合物 |
検出されないこと |
- |
※指定基準変更の変遷
日付 | 内容 | 備考 |
---|---|---|
平成26年8月1日 | 1,1-ジクロロエチレンの土壌溶出量基準の変更 | 0.02mg/L→0.1mg/L |
平成29年4月1日 | クロロエチレンの追加 | - |
平成31年4月1日 | シス-1,2-ジクロロエチレンを1,2-ジクロロエチレンに見直し | - |
令和3年4月1日 | カドミウム及びその化合物の土壌溶出量基準及び土壌含有量基準の変更 |
(溶出)0.01mg/L→0.003mg/L |
トリクロロエチレンの土壌溶出量基準の変更 | 0.03mg/L→0.01mg/L |