温室効果ガス排出量算出結果(2010)
福島県における2010年度(平成22年度)の温室効果ガス排出量について
本県における2010年度(平成22年度)の温室効果ガス排出量を各種統計資料に基づき算出しましたので、その結果をお知らせします。なお、電力等使用による温室効果ガス排出量と重複することから、今年度からエネルギー転換部門の温室効果ガス排出量を除いて算出しています。
1 温室効果ガス総排出量について
(1) 温室効果ガス総排出量について
ア 2010年度の温室効果ガス総排出量(各温室効果ガスの排出量に地球温暖化係数※1を乗じ、それらを合算したもの)は、1,667万1千トン(二酸化炭素換算)となりました。
イ 基準年度である1990年度(平成2年度)と比較すると、9.5%上回っており、2009年度(+7.4%)から2.1ポイント増加しました。
ウ 前年度と比べて総排出量が増加した主な要因は、2008年に発生したリーマンショック後の景気後退からの回復の中で、製造業等の活動量の増加に伴い産業部門からの排出量が増えたことと考えられます。
(2) 森林吸収量及び京都メカニズム※2等を含めた排出量について上記総排出量から2010年度の森林吸収量(211万9千トン、林野庁算定データ)、及び京都メカニズム等を活用した東北電力の調整後排出係数※3を用いた削減量(157万1千トン)を差し引くと総排出量は1,298万1千トンとなり、基準年度比85.3%(▲14.7%)となっています。
※1 地球温暖化係数とは 個々の温室効果ガスの地球温暖化に対する効果を、その持続時間も加味した上で、CO2の効果に対して相対的に表す指標。メタンは二酸化炭素の約21倍、一酸化二窒素は約310倍、フロン類は数百~数千倍となる。
※2 京都メカニズムとは 海外で実施した温室効果ガスの排出削減量等を、自国の排出削減約束の達成に換算することができるとした柔軟性措置。京都議定書において定められたもの。 温室効果ガス削減数値目標の達成を容易にするために、京都議定書では、直接的な国内の排出削減以外に共同実施、クリーン開発メカニズム、排出量取引、という3つのメカニズムを導入。さらに森林の吸収量の増大も排出量の削減に算入を認めている。これらを総称して京都メカニズムと呼んでいる。
※3 排出係数とは 電気使用に伴う二酸化炭素の排出量を計算するための係数。 調整後排出係数とは京都メカニズム等を活用し、クレジットの購入により削減したと見なした排出量を加味したものである。
2 温室効果ガスの種類別排出量について
(1) 温室効果ガス排出量の種類別構成割合は、二酸化炭素(以下「CO2」という。)(91.5%)が最も多く、次いでメタン(以下「CH4」という。)、ハイドロフルオロカーボン類(以下「HFCs」という。)、パーフルオロカーボン類(以下「PFCs」という。)、一酸化二窒素(以下「N2O」という。)、六フッ化硫黄(以下「SF6」という。)の順となっています。
(2) 基準年度である1990年度(代替フロン等3ガス(HFCs、PFCs、SF6)においては1995年度)と比較すると、CO2が+14.4%、PFCsが+5.1%となっておりますが、その他の温室効果ガスであるCH4、N2O、HFCs、SF6については、基準年度を下回っています。
3 二酸化炭素の部門別排出量について
(1) CO2排出量の部門別構成割合は、産業部門(34.7%)が最も多く、次いで運輸部門(27.0%)、民生業務部門(18.0%)、民生家庭部門(16.8%)、廃棄物部門(3.6%)の順となっています。
(2) 基準年度である1990年度と比較すると、民生家庭部門が+50.3%、民生業務部門が+35.1%と、これらの部門については高い増加率を示しています。
4 前年度〔2009年度(平成21年度)〕からのCO2排出量の増減について
(1) 産業部門(前年度比+10.5%) 東北電力の実排出係数の減少にもかかわらず、CO2排出量は増加しました。その原因として主に産業部門の排出量の91.6%を占める製造業の排出量が前年度と比較して12%増加したことによります。
(2) 民生家庭部門(前年度比▲2.2%) CO2排出量は減少しました。その原因として主に電力の消費量が増加したものの、ガスの消費量の減少及び東北電力の実排出係数が減少したことによります。
(3) 民生業務部門(前年度比▲2.0%) CO2排出量は減少しました。その原因として主に東北電力の実排出係数が減少したことによります。
(4) 運輸部門(前年度比▲2.5%) CO2排出量は減少しました。その原因として主に運輸部門の排出量のうち97.2%を占める自動車の排出量が減少したことによります。
(5) 廃棄物部門(前年度比 0.0%) CO2排出量は横ばいで推移しました。その原因として廃棄物の焼却量が前年度と同様に推移したことによります。
〔参考〕================================
1 温室効果ガス排出量について 2010年度における本県の温室効果ガス排出量が前年度より増加した原因は、2008年度後半の金融危機(いわゆるリーマンショック)による景気後退からの回復の中で、製造業等の活動量の増加に伴い産業部門からの排出量が増えたこと等が挙げられます。 しかし、産業部門以外の民生業務部門や運輸部門は減少しており、これは、本県独自の「福島議定書」の取組みや「地球にやさしいふくしま県民会議」を核とした県民運動などの温暖化対策の成果も排出量削減に寄与したものと考えられます。 なお、2011年度の本県における温室効果ガス排出量については、東日本大震災の影響等により、2012年2月までの11ケ月間の鉱工業生産指数及び大口電力使用量が前年を下回っていますが(最近の県経済動向、県統計分析課)、火力発電の増加によって化石燃料消費量が増加したことにより前年度より実排出量が増加するものと推測されます。(参考)国の「2011年度(平成23年度)の温室効果ガス排出量(速報値)について」によると、2011年度の温室効果ガス総排出量は、前年度と比べると3.9%の増加となっています。
2 電気使用量に係る排出係数について 排出係数とは、電気使用に伴うCO2の排出量を計算するための係数です。 調整後排出係数とは京都メカニズム等を活用し、クレジットの購入により削減したと見なした排出量を加味したものです。 2010年度の東北電力の調整後排出係数は0.326kg-CO2/kWh、実排出係数は0.429kg-CO2/kWh。 (2009年度の東北電力の調整後排出係数は0.322kg-CO2/kWh、実排出係数は0.468kg-CO2/kWh。)
3 「福島県地球温暖化対策推進計画」における温室効果ガス排出量削減目標について 本計画は2011年3月に見直しを行ったところですが、2011年3月に発生した東日本大震災により、本県の置かれた状況が大きく変わったことから、現在、本計画の見直しを行っているところです。 改定案は現在パブリックコメントを行っておりますが、温室効果ガス排出量について、2020年度は基準年度(1990年度)比で10~15%の削減を目標とし、2040年度は基準年度(1990年度)比で80%の削減を目指しています。
4 『自動車燃料消費量統計年報』と『自動車輸送統計年報』の統計数値の比較について 国土交通省は、平成22年度より「自動車輸送統計調査」より「自動車燃料消費量調査」に移管し、調査方法及び集計方法を変更しました。 なお、当課による温室効果ガス排出量の算定には、「自動車燃料消費量統計年報」を使用していますが、同年報は「自動車輸送統計年報」の統計数値の公表値とは、時系列上の連続性が担保されないとしているため、数値の連続性の観点から、国土交通省が設定した燃料別車種別の接続係数を乗じています。
5 排出量の公表時期について 2010年度の日本の温室効果ガス排出量の算定結果については、2012年4月に公表されていますが、その後示されるエネルギーバランス表などの統計資料が都道府県毎の排出量算定に必要となることから、本県の公表時期は国と異なります。
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