重点地域
重点地域とは
原子力防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲
原子力発電所で事故が発生し、外部へ放射性物質が大量に放出された場合、周辺住民の避難や屋内退避等の必要な防護対策を実施することがあります。
これは、原子力発電所から風下方向に拡散する放射性プルーム(放射性雲)によって生ずる放射線被ばくや放射性物質汚染の影響を防止または低減するためです。
事故によって放出された放射性プルームが周辺住民の居住地域まで達するまでの時間やその量は、事故の状況や気象条件などにより異なりますが、放射性物質は、放出源(発電所の排気筒等)からの距離が増大するにつれて大気中に拡散し濃度は著しく減少するとともに、放射性物質の特性である半減期によって時間とともに減少するため、人体に与える影響力も減少します。
このため、緊急事態発生からの限られた時間を有効に活用し、周辺住民の被ばくを防止する有効な応急対策を短時間に効率良く行うためには、あらかじめ影響の及ぶ可能性のある範囲を選定し、そこに重点を置いて原子力防災に特有な対策を講じておくことが重要です。
原子力安全委員会では、この「原子力防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲」(重点地域)のめやすとして、あえて技術的に起こり得ないような事態までを仮定し、十分な余裕を持って原子力発電所からの距離を「約8~10km」と定めています。
福島県では、この防災指針に基づき、地域防災計画原子力災害対策編において下図のとおり重点地域を定めています。
具体的には、安全審査における仮想事故の放出量の10倍程度の放出量や、スリーマイル島事故において1週間にわたって放出された放射性物質の量が1日で放出されるという厳しい条件においても、この範囲の外側では避難や屋内退避等の防護措置は必要ないことが、原子力安全委員会において確認されています。
東京電力株式会社福島第一原子力発電所に係る地域
- 富岡町、大熊町、双葉町、浪江町の地域(原子力発電所から概ね半径10kmの地域)
東京電力株式会社福島第二原子力発電所に係る地域
- 広野町、楢葉町、富岡町、大熊町の地域(原子力発電所から概ね半径10kmの地域)