SPEEDI電子メールデータ削除問題
SPEEDI電子メールデータ削除問題について
ここでは、東日本大震災における、緊急時迅速放射能影響予測システム(以下SPEEDI)電子メールデータ削除問題について記載しています。
SPEEDIとは
まず、SPEEDIとは、原子力発電所から大量の放射性物質が放出やそのおそれがある緊急事態において、周辺環境における放射性物質の大気中濃度及び被ばく線量等の環境への影響を、放射源の情報や気象条件及び地形データを基に予測し、地図上にその範囲を示すシステムです。
SPEEDIは、文部科学省が整備・運用を委託している原子力安全技術センター(以下NUSTEC)に設置されている計算機を中心に原子力安全・保安院と関係道府県、オフサイトセンター等とネットワークで結ばれていて、放射性物質データ及び気象データ等を常時収集し、緊急時に備えています。また、事故が発生した場合、収集したデータ等を基に、放射性物質の大気中濃度及び被ばく線量等の予測計算を行います。この結果は、ネットワークを介してオフサイトセンター等に提供され、緊急時モニタリング地点数の選定や、避難や安定ヨウ素剤の投与等の防護対策の決定に活用されます。
SPEEDIデータ削除問題の経緯
事故発生当初、県災害対策本部にもSPEEDIのデータが国から提供されていましたが、県と国ではそのデータの提供についての見解が異なっていました。
福島県(平成24年5月19日) | 国(平成24年5月23日) | ||
送り先 | 県災害対策本部 | 保安院からFaxにより3月13日10時37分に、3月12日から3月13日8時までの試算結果を受信 NUSTECから電子メールにより3月15日朝に、3月15日8時の試算結果を受信 | NUSTECから電子メールにより3月12日23時54分に送信 |
原子力センター | 言及なし | NUSTECから電子メールにより3月11日23時49分に送信 |
見解の違いを踏まえた確認調査
上記のように、県の見解と国の見解が異なることから、災害対策本部内に保管されていた資料、県庁の電子メールサーバーの記録等の精査や、関係職員からの聴き取り調査等、事実関係の整理を行いました。ちなみに、平成23年5月時点で3月16日10時以降のSPEEDI試算結果は保存されていたため、それ以前の電子メールによるSPEEDI試算結果の取扱い状況を調査対象としました。
調査により判明した事実
その結果、県災害対策本部におけるSPEEDI試算結果の受信開始は3月12日23時54分であり、3月16日9時45分までに86通のSPEEDI試算結果を受信をしていたことが判明しました(国の見解と一致)。そして、この間に受信した86通のSPEEDI試算結果のうちUSBメモリ又は印刷物で保管されていたものは21通で、残りの65通については電子メールデータの残存記録がなく消失していることが判明しました。
原因と問題点について
今回の確認調査によって推定された原因や問題点としては、以下のことがあげられます。
原因 |
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県の対応の問題点 |
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- 福島第一原子力発電所事故発生当初の電子メールによるSPEEDI試算結果の取扱い状況の確認結果の概要[PDF形式/133KB]
- 福島第一原子力発電所事故発生当初の電子メールによるSPEEDI試算結果の取扱い状況の確認結果(全文)[PDF形式/262KB]
以上のように、震災発生当初の電子メール消去及びその後の詳細調査の懈怠など、県の対応に問題があったことが明らかになりました。
今回の一連の経過によって、県民の皆様に多大な疑念を抱かせてしまったことにつきまして、お詫びを申し上げます。
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