地球探検 パラグアイ共和国 廣瀬靖夫隊員 5
パラグアイ通信(5)
こちらに着いてすぐの日曜日に先輩諸氏に少し街を案内しましょうといわれて、セントロと言われる旧市街地(国会議事堂、大統領官邸、そして船着場、商店街がある)、つまりスペインの植民地時代にここが中心になってパラグアイの経営がなされていたところに行きました。さぞ賑やかなところとおもいきや、店は閉まって人もほとんど出ていない状態でした。「え!どうして?」と聞いたら、「日曜日だからさ」との答え。日曜日は、国民みんなの休息日、サラリ-マンも商店の人も等しく休息するのです。困ったのは私たちよそ者(旅行者)。レストランも休みなので食事はどうするのと先輩たちに聞くと、「中国、韓国から来た移民者のレストランは日曜日も開いてる」とのことで、日曜日は中国料理か韓国料理ということになりました。
パラグアイ国民の90%以上がカトリック教徒の国、そういえばこの8月に司祭さんだった人がこの国の大統領になったばかりです。経済合理主義を求める日本で商店やレストランが日曜日に一斉に休むなど考えられないことです。これは私の個人的な感想ですが、横軸に宗教の強さ、縦軸に経済発展あるいは工業化をとると、バラつきはあるだろうが右肩下がりの線で表せるのではないかと思っています。ところが縦軸に人間性とか安らかさをとると、逆に右肩上がりになるのかもしれません。パラグアイの人たちは「日曜日はどうしてるの?」と聞くと、午前中は教会に行って午後は家族や友人親戚と過ごすのだといってました。大家族制度を持つパラグアイでは、家族との絆を強くする日でもあるのです。
ところで、12月8日はパラグアイに来てはじめての祝日です。聖母マリア様が奇跡を起こしてパラグアイ人を救った日で国を上げて祝うのだそうです。アスンシオンより東へ約50kmのカアクぺという町があり、そこにある大聖堂にそのマリア様が祭られていて12月7日から8日にかけてパラグアイ全国から多くの人がそこへ巡礼に訪れます。私たちも11月下旬にそこを大学の人たちに連れられて8日には少し早かったのですが訪れて来ました。大聖堂といってもヨ-ロッパにあるもと比べるとちいさなものですが、それなりの風格がありました。面白いことに、聖堂の周囲にお土産屋がたくさん店を出しているのですが、蛙の瀬戸物の置物(貯金箱になっている)が沢山おいてあるので、なぜかと聞いたら、幸運を運んでくるのだそうです。中国では豚、日本では猫(招き猫)、そしてパラグアイでは蛙と人々はみな小さな幸運を何かにたくしながら生活しているのだなと思ったしだいです。
写真1
マリア様が祭られているカクーペの大聖堂間前で
写真2
幸運をよぶといわれるカエルさんの置物(貯金箱)
廣瀬 靖夫 (シニアボランティア 環境工学)