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地球探検 ケニア共和国 伊藤淳一隊員 4

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年2月4日更新

地球探検

ジュンガニレポート ~ルヒャ族との730日~

ルヒャ民族、ティリキ亜種族の割礼儀式

 2015年8月と12月、5年に一度のティリキ亜種族の割礼儀式が学校の休暇に合わせ執り行われました。割礼儀式はペニスの皮を切除を伴い、ティリキの男の子がティリキの大人の男として認められるための加入例です。
 また、部族によって切り方や作法も異なります。現在も伝統作法に則り、伝統グループは割礼直前に裸で町を行進し、割礼後1ヶ月間は森で生活を送りながら定期的にコミュニティの大人に先導されながら伝統衣装で全身を覆い町を行進します。割礼儀式はコミュにティ形成の上でも重要な役割りを持っています。

 以下は、亜種族内の秘密でありますが、割礼前に、男の子達は割礼を取り仕切る男に、許しを前提に現在まで行なってきた罪(盗み等)を告白します。大人達は子供の犯してきた罪を両親に伝え、その後、両親は自分の子供が盗んだ作物や物品を被害者家族に返します。割礼は、彼らのアイデンティティ形成と加入例の意味合いの他に、コミュニティ内の争いの基を払拭すし浄化する役割も担っています。また、割礼前夜にはコミュニティーの年寄りか男の子達にらティリキ亜種族の歴史や規則を口伝伝承します。この割礼儀式を通し、ティリキ亜種族の大人の男性としてのアイデンティティーが形成されます。
 私は、割礼終了日に割礼を終えた男が森から帰ってくる家のセレモニーに招待された。勇敢に割礼を終え家に帰ってきた時、家族は男の子をティリキの大人の男性として向え、母親は1ヶ月ぶりの再会にとても喜んでいました。多くの来訪者の前で、ティリキの男として認められる瞬間、部族や仕来りやコミュニティの重みと深さを感じました。
(写真はFacebookhttps://www.facebook.com/tirikiculturalfestival2015/から抜粋)

任期を終えて、今後へ

 ケニアで活動する上でその地域の文化を如何に私なりに受容し活動に反映させていくか、また現場のプロジェクトはどのように動いているのか等、そのすべてが私にとって勉強でした。その中で、自分自身に一生懸命に向き合う中で、少しでも他の住民のプラスに繋がればという考えで活動を行ってきました。実際、ボランティア活動を通し住民が私から得たものは僅かかもしれません。一方で私がケニアの人々、社会、歴史から学ぶ事の方が多かったとおもいます。
 私は、任地での生活を通して多様な文化、価値観に触れ、多くの視点、考え、現実を勉強させて頂きました。部族独自の風習や伝統的生活様式が根強く残る中で、外部者にとっては「問題」と感じる事は彼らの生活には理にかなっており、また彼らのアイデンティティーを構成している物事である場合があります。私達の行なっている物事がコミュニティーから受け入れられる物事なのかを判断するためにも当該地域の歴史や価値観を勉強し尊重する事が大切であり、プロジェクトを成功させる重要なキーであると言う事を肌で実感いたしました。
 今後はケニアで得た視点や問題意識を大学院で深く勉強し、その後はフィールドに戻り、将来、少しでも双方の利益になるようなプロジェクトを実行できる人材になりたいと思います。

 また今後も一人の人間として、協力隊活動を通して得た現地住民との絆を大切に、また新たな地での住民との交流を通し、個人及び草の根交流を大切にしていきたいと思います。日本の方々にも私の視点で見たケニアやお世話になった現地の人々、友人の話を伝え「アフリカ」に対する親近感を感じてもらえれば幸いです。
 最後に私は同僚や住民、関係者など多くの素晴らしい人々に恵まれた。彼らの協力があったからこそ大きな問題も無く健康に活動を行って来れました。彼らへの感謝の気持ちを忘れずに、このボランティア経験を生かすための次のステップに進みたいと思います。

ティリキ伝統衣装1
ティリキ伝統衣装1
ティリキ伝統衣装2
ティリキ伝統衣装2
小学校での農業ビジネスクラブ活動
小学校での農業ビジネスクラブ活動
配属先の同僚
配属先の同僚
いろいろ語り合い教えてくれた門番のISAACK
いろいろ語り合い教えてくれた門番のISAACK

伊藤淳一 平成25年度4次隊 コミュニティ開発 ビヒガ県ハミシ郡農務官事務所