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地球探検 チリ共和国 山寺四郎隊員 5

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年12月1日更新

地球探検  

チリ便り 8月号  

 8月に入り、日本では暑さに疲れているのではないでしょうか。こちらチリでは次第に春めいてきました。雨の日も徐々に少なくなってきましたが、日本の梅雨末期のような症状で時に雨風が強い日がたまにあります。今年の東北地方の夏は天候不順のようですが、農産物に影響がないことを祈ります。
 さて、8月の出来事等について報告します。

 

 悲しい光景

  最近心が重くなる光景を目にしました。と言うのは、アパートの前の大きなごみ箱を子供があさっている風景を目にしたこと。さらに別の日に、同じようにごみ箱をあさっている姿を再度目にしたことです。
 最初私には何をしているのかわかりませんでした。ゴミの中から何かを選び出し袋に詰めておりました。日本人だから気に止めるのかもしれませんね。どこの国でも福祉関係の問題は難しいと思います。個人の力では救いようのない現実なので政治・政策の力が必要であるとつくづく考えさせられました。
   ここTemuco市にも貧民街(表現は適切でないかも知れません。)があり、危険なので一人では近づかないように言われている地域があります。私自身としては、是非その実態を見たいと思っております。
 すぐ近くには高層ビルが立ち並び、高級感溢れる高層マンションも立ち並んでいるのです。富める者と貧しき者の社会はいかに時代が進んでも解消されることのない人間社会に課せられた永久の課題なのでしょうかね。日本も確かに経済的な格差はあると感じておりますが、格差の幅が少ないと思っております。いつの時代も富の分配は夢のまた夢なのかもしれませんね。経済的な格差イコール社会的な格差が大きな問題であると思います。
 貧しさは時として人間の尊厳をも奪ってしまうものなのですね。以前ある国を訪れた時に体験をしたことを思い出します。その時の光景は、粗末な小さな家に子どもが3、4人おりボロ布をまとい顔にはハエが纏わりついている姿です。その時も人間の尊厳について考えさせられました。生まれたからには生きるしかないのが現実なのかも知れません。苦しみの多い人生を歩むことになるであろうと勝手に想像したりもしました。これが現実と割り切れれば良いのですが・・・・・
 今のアパートを出て、行くなと言われている貧困地域(先に述べた地域)で、半年ぐらい住んでみたいと言う衝動に駆られる時があります。ここの人達と生活を共にして現実を知りたいという感情が湧きあがってくる時があります。そうでもしないと表面上の同情だけで真実を見ることができないと思っております。私の任務とは全く関係ありませんので不可能なことは承知の上での話ですが。(思い入れが強くなってすみません。)
 日本もホームレス等貧しさの例はありますが、貧しさの質が異なると感じております。

 

 漁業組合の総会

 今月は暗い話になってしまいましたが、先の6月号で紹介した、サケ・マスの人工ふ化の稚魚を見に行ってきました。(6月20日採卵、8月8日現在)写真のように沢山しかも元気に孵化しておりました。さらに大きくして湖に放流します。サケ・マスはこの地域の貴重な資源なのです。

サケ・マスの人工孵化の様子

地元ボランティアによるサケ・マスの人工孵化の様子(孵化したばかり。)

採卵風景

採卵風景

採卵したマスの卵

採卵したマスの卵

 

 視察の後は夕方7時頃から漁業組合の総会があり私も急きょ招待され、断るのも気が引けるし、雰囲気を味わうのも良いかなと思い出席しました。出席者は総勢40名くらいあり、私も日本から来たJICAボランテイアである趣旨の紹介をしていただきました。会員の中にはJICAの名前を知っている方々もおり、JICAの名前が認知されていることにこの活動の重みを感じました。日本人の私にも特に違和感もなく直ぐに皆さんと打ち解けることができました。言葉は分からない部分が大半でしたが何とかなるものですね。総会終了後は会員間の交流会で、会食(ワイン等飲み物付き)とダンスで夜中の2時頃まで楽しみました。こちらの方はとてもダンスが好きでパーテーにはダンスが付き物です。日本人の私はいつも誘われるのですが、躊躇してしまいます。と言うのも、体の動きが音楽に合わないのでとてもぎこちない動きになってしまいます。任期中に自然とダンス仲間に入れれば幸いです。

総会後の会食用焼肉風景

総会後の会食用焼肉風景。巨大な牛肉の塊。

懇親会風景

懇親会風景。会員の伴奏付き。

出席者全員でダンス

最後は出席者のダンス。盛り上がっています。

 

もう一人の日本人ボランティア

  今月の大きなニュースはもう一人のJICAのシニアボランテイアが私のお世話になっている事務所に来られたことです。8月4日(火曜日)に吉田哲さんが着任しました。任務は貿易の促進に携わります。吉田さんは、長年松下電器に勤務しておられ、定年退職と同時にJICAの当プログラムに参加されたそうです。海外生活も豊富でスペイン語も堪能で私とは大違いです。羨ましい限りです。日常業務も効果の上がるものになるのは間違いないです。私も頑張らなくてはと思っているのですが・・・・・?
 日本人が二人になったことで、日本を理解していただく絶好の機会だと思っております。マイナスイメージに繋がらないように気を付けて日々を過ごしたいと思っております。

 事件

  8月22日(土曜日)の夕方Carlosさん(前回号で紹介したPuerto Saavedra在住の職員)が突然私のアパートを訪れました。どうしたのかなと理由を尋ねたところ、奥さんと喧嘩をして出てきたとの事。本人はFamily Problem, Family Problemと言っていました。彼も相当頭に来たらしく、Temuco市内にアパートを借りて12月までこちらに住むと言っていました。早速部屋探しをしていました。
 ま、私が思うには、時間がたてば問題は解決すると思われます。(経験上の推理)。夕方には近くのレストランで元気づけのため、夕食を取り私のアパートの空き部屋に一泊し、翌日曜日は業務活動のための作業着等の購入に付き合ってもらいました。私も大助かりでした。その後軽い昼食をレストランで会食し帰りましたが、家には帰らず、別の友達の所に泊まるとの事でした。聞かじりですが、チリはカトリックの国なので離婚は大変らしいとのこと。したがい、大方別居と言う形になるようです。離婚する場合奥さんに収入があれば、奥さんの生活費は補償しなくてよいらしいのですが、子供を扶養する場合は、子供の扶養費を支払必要があり、また、財産は奥さんと半分分けになるそうです。(確かな情報は不明)かなり奥さんが保護されているように感じます。
 Carlosさんの事件から一週間が過ぎましたが、その後の詳細は不明ですが、家族の元へ戻ったようです。

 今月も色々と考えさせられたり、ちょっとした事件があったりで、徐々にチリの社会に馴染んできているように感じます。でもあまり深入りはしないように気を付けたいと思うこの頃です。
 では次回号までさようなら。

山寺 四郎 (20年度4次隊 自然環境保護活動)