地球探検 チリ共和国 山寺四郎隊員 4
チリ便り 7月号
7月に入りこちら(Temuco市)も若干朝晩の冷え込みが厳しくなってきた感じがします。早朝にはうっすらと氷が張ることも稀ですがあります。寒さの厳しい日でマイナス3℃位まで気温が下がってきました。7月は一年で一番寒くなる月のようです。でも、街路樹の中には春を感じてかちらほら花を咲かせる樹木もあります。日本の梅の花に似ていますが定かではありません。
こちらの社会生活の常識と言うか多少驚いたこと、印象に残ったことを記述してみたいと思います。先ず驚いたのは、路線大型バスに運転手の子供を脇に乗せて運転していることです。日本では厳しい業務管理規定等があって到底許される行為ではないと思うのですが、国が違えは常識も違うことに改めて気付かされました。次に事務所に良く子供が訪ねてくることです。お菓子を食べたり、昼食を一緒に食べたりとこれもまた日本とは大違いです。日本では見ることの出来ない光景です。職員の皆さんも皆親しげに話しかけております。時には職員の(父親等の)コンピューターを操作し何やら調べものをしたりしていることもあります。これにも驚きました。このようなことも先に述べましたが日本では到底許される行為でないと理解していますが。これらの事例だけでも日本人の目からみれば目が点になってしまいます。これも文化の違いなのでしょう。
もう一つは、私が訪問した家庭では良く男性(旦那)がこまめに働くことに感心しました。洗濯をし、干して、掃除をし、皿を洗ったりと、時には料理もします。また奥さんをとても大切にしています。奥さんの力がかなり強そうに感じました。日曜日などは奥さんの方が遅く起きてきます。旦那が早く起きて子供に朝食を食べさせたりと、大方の日本の家庭ではここまではしないだろうなと感心の連続です。
更に驚いたことは、たまたま私のアパートの近くで財布を拾ったのですが、中身は2,001ペソ(約360円)とルビーが中心の指輪が入っておりました。金額はたいしたことはない額ですが、指輪にはなにか思い出がいっぱい詰まっているのではないかと思い、どうすれば確実に落とし主を探すことができるかあれやこれや考えておりました。警察に届けても無理だろうしと、思いついたのは新聞に落し物のお知らせでも掲載してもらって一般の人に広く知らせてもらおうと、事務所の職員と新聞社に相談に行って事情を話したら、その結果は意外なもので、そのような広告は新聞では取り扱わないとの内容でした。自分で張り紙でも出して探したらと言われ、これにも驚きました。新聞社の役割も日本のそれとは大分違うようです。
今月も先月と引き続き職員のお宅に招待され3軒ほど家庭訪問をしました。共通して言えるのは、こちらの公務員の生活は平均的なチリの生活水準よりはかなり高いのではないかとの印象を受けました。また共働きが殆どで、その点は日本と似ているなと感じました。こちらの女性は政治的にも、社会的にも積極的に進出しておりその地位もかなり高いと感じております。
話はそれましたが、6月に一度招待されたCarlos Fleiteさんから、Puerto Saavedraでチリの民族舞踊会が開催されるので来ないかとの誘いを受け再度お宅に伺いました。舞踊会は夕方7時半ごろから開始なので、午後のバスでCarlosさん宅に向かいました。今度で二度目の旅だったので何の不安もありませんでした。最初の時はあまり気がつかなかったのですが、バスステーションは地方からの出てきた人、これから戻る人で大変混雑していました。大きな荷物を抱えた人が大勢いて、生活感が身近に感じられると共に今日を生き抜くというような力強さを感じさせられました。
午後3時頃Carlosさん宅に到着し昼食をいただき、しばし家族団らんの時間を持った後で夕食の買い物に取れたての貝(ムール貝の種類)を大きいバケツ一つぐらいの量を買ってきて塩ゆでにして食べました。とても美味しかったです。貝の中身が大きく貝の肉だけでお腹が一杯になってしまいました。
夕方会場となる町の体育館に出かけ舞踏会を楽しみました。この舞踊会は私がお世話になっているGobierno Regional De La Araucania(アラウカニア 地方行政府)主催で私も政府関係出席者として紹介されたのですが、中国人として紹介されたので一応席を立って挨拶したあとすぐに日本人に訂正していただきました。この光景に観衆から笑いを取ってしまった次第です。舞踊会にチリの南から北果ては太平洋上のポリネシア文化圏までの踊りを紹介するもので、様々な民族がいるものだなと感心してしまいました。舞踏会にはCarlosさんの娘さんが出演するのでカメラを持って行って待機です。舞踏会が終わったのは11時近くになり、その後別会場で関係者を含めて軽めの会食をして結局家に戻ったのは12時近くになってしまいました。チリも民族的な観点、地理・地形的な観点等から眺めると中央集権を図るのはなかなか難しいと思った次第です。
次の日の日曜日は奥さんと子供二人は冬休みの旅行でチリ中北部の太平洋側に位置するアントファガスタ市へ一週間の滞在予定で出かけて行きました。Carlosさんは留守番と犬2匹の世話係です。
ま何と言いましょうか私のコメントはありません。
それではまた来月。
民族舞踊会の様子
向かって左側がCarlosさんの娘さん
ポリネシア系の人達の踊り
様々な文化圏の踊り
私と踊り手(若干中国風)
Puerto Saavedraの一光景、春夏の季節は景色が更に美しくなる。
山寺 四郎 (20年度4次隊 自然環境保護活動)