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地球探検 チリ共和国 山寺四郎隊員 3

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年12月1日更新

地球探検

マプチェ族訪問体験  

 前回のチリ便り(6月号)(2)でPuerto Saavedraの街の旅行について書きましたが、この地域は先住民であるマプチェ族の方が多く住んでいるので興味がありました。というのもマプチェ族は私と同じモンゴロイドでアジアが発祥地であるという共通点があり、文化的にも似たところがあると思っていたからです。実際会ってみると、瞳の色、髪(直毛)、皮膚の色、体つき、顔つき(骨格)等たくさんの共通点があると感じました。伝統的な家屋も日本で復元している縄文時代の家屋にそっくりです。よくもこんな遠くまで来たものだと感心してしまいました。

   ここの地域のマプチェ族は殆どが農業に従事しており、チリの平均的な暮らしからするとかなり格差があると感じられました。個々の家には電気が通じておるものの、農家としては建物が小さく、水道等の敷設はまだのようで衛生面でもまだまだ問題があるのではと思われました。農地は良く管理されていて、農業と畜産業の二本立ての経営をしているようです。専門家でないので何とも言えませんが、土地は肥沃なようで、生産された野菜・ジャガイモ・トマト等は日本人から見ると巨大に感じました。特にジャガイモはたくさん生産されているようで、大きなトラックで輸送されている光景によく出会います。私の訪れた農家は、養鶏にも取り組んでいましたが、技術的なものは手探り状態で、専門家の指導もないので、改善する点が多々あると思われました。私自身の活動としての立場からいうのも気が引けますが、「自然環境保護」ももちろん大切ですが、農業の振興政策も最積極的に進める必要があるのではないかと感じました。農業全般の技術指導により一層の農家所得向上に繋がると思います。色んなコミュニティーがあって改善の兆しはあるようですが、農家の現金収入はかなり低いと思われ、どの程度影響を与えるものかは分かりませんでした。しかし、農業に関しては将来の大きな潜在能力を秘めていると思います。

  もう一つの側面として農産物の輸送手段についてですが、私が描いていたものよりは格段に幹線道路は良く整備管理されている一方で、マプチェ族の住んでいる地域(カンポと呼んでいる)は一歩幹線道路から離れると、未舗装の泥道で、幅員も狭く、車やっと1台が通れるくらいでした。輸送手段には今でも二頭立ての牛が輸送の重要な役割を負っていて、都会の生活とのアンバランスの大きさを感じざるを得ませんでした。現状に配慮したきめ細かい政策を願います。
  私は農業指導員でも何でもないのでこの現実を第三者の目から見ているだけで何もできません。即指導できるような知識も能力もなく残念な気持ちで一杯です。また、農家の方々の日々の労働の厳しさはいか程かと思うと、市場で売っている野菜等農産物の価格がもっともっと高くてもいいと思っています。労働対価に見合う収入はまったく得られてはいないと思いました。底辺部分でこの国を支えているのはこのような地方の人々ではないかとつくづく思う次第です。

  この地方の田園風景は遠目から見るとそれは美しいものです。丘があり、耕地があり、木立があり、森があり、河があり、湖があり、これらのコンビネーションは絵画のようです。以前何かの本に書いてあった一行を思い出させます。「山美しく、人貧し」と。私は「山も美しく、人も豊か」であって欲しいと切に願っているものです。

マプチェ族
 マプチェ族(Mapuche)は、チリ中南部からアルゼンチン南部に住むアメリカ州の先住民族。民族名は、彼らが話すマプチェ語で「大地」(Mapu)に生きる「人々」(Che)を意味する。マプチェ族は、南アメリカ南部を支配し、インカ帝国やスペインの侵略に対し長く抵抗を続けた民族として知られている。彼らは生計を農業に依存し、ロンコ(lonco)と呼ばれる首長のもとで血縁関係を単位とした社会を構成していた。戦争のときには「トキ」(toqui「斧を持つ者」の意)というリーダーを選出し、その下に連合してより大きな集団を形成することもあった。 (『ウィキペディア(Wikipedia)』より)

マプチェの正月祝い

マプチェの方々の正月祝い(6月24日)

マプチェの皆さんと

マプチェの皆さんと

マプチェのレストラン

マプチェのレストラン(縄文式住居と似ている)

レストランの経営者夫妻

マプチェのレストランの経営者夫妻と。

マプチェの料理

マプチェの料理(手前はいろりの灰の中で焼いたパン。奥は焼き芋と同じ原理。その他自家製蜂蜜、自家製クリームバター、ジャム、辛子、チーズすべて自家製)で、蜂蜜、クリームバターはとってもおいしかった。

お宅に訪問

マプチェのお宅に訪問。農地を見学。

周辺の風景

周辺の風景

山寺 四郎 (20年度4次隊 自然環境保護活動)