「福島版ユニバーサルデザイン実現への提案」研究会員からのメッセージです(本田 陽一さん)
印刷用ページを表示する 掲載日:2013年12月1日更新
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福島版ユニバーサルデザイン実現への提案
和で広がる心のデザイン
本田 陽一
趣旨
ユニバーサル・デザインは、バリアフリーのように高齢の人や障がいのある人だけでなく、すべての人にやさしいデザインや考え方をしていこうというものです。それは現代社会を取り巻く、モノ・環境・情報のバリアを取り除き、その隙間に人としてのあたりまえの感情や豊かな感性をはぐくんでいくことだと思います。
提案
- 和は大和。先人の文化・暮らしの再発見 私たちは先人が残した素晴らしい文化や習慣を受け継いでいます。先人の知恵から生まれ、つくり続けられてきた漆芸や陶芸、染織などの民・工芸。鍛冶や宮大工などの職人芸。その高度な技術は今なお現代産業に大きく貢献しています。この技の財産を伝承していくのもユニバーサル・デザインの一環と考えます。 かつて縄文以来、安土・室町・元禄などの文化が花咲き、美や芸術でも宗達や光琳が活躍した淋派。茶道の利休、浮世絵。あるいは西陣など全国津々浦々に豊かな産業がありました。各々の時代は、「モノと使い手のバランスがとれており、つくる側も使う側も接し方をわきまえていた」と思います。モノは人間の奴隷ではなく、心を込めてモノや事に関わる。これが私たち日本人の根底に息づく精神性ではないでしょうか。
- 和は「和み」 我が国は、四季折々美しい風景を有し、その自然をうまく取り入れた自然との共生。それは生活から振舞や作法にも反映されてきました。例えば、来客の際には玄関に打ち水をしてお客様を迎え、もてなす。このきめ細かな心遣い。現代社会のマナー作法として再構築してもよいのではないでしょうか。かつての寺子屋や寄り合いなどは、学習や情報収集のほかに、皆の交流の場でもありました。ここにも日本人特有の思いやりを感じます。社会のバリア、そして心のバリアを取り払うことで、コミュニケーションという「和み」が増幅し、現代社会で起きているさまざまな問題も解決されていく要となるはずです。
- 和は心。自分のモノサシを持つ マイユニバーサル・デザイン だれにでも…ということは自分自身がしっかりした考えを持ち、社会や物事の目利きになることです。言いなりでモノを選ぶのではなく、知恵と知識を蓄え、審美性を養うことです。使い捨てるのではなく、自分流にモノをなじませ、愛着をもって長く付き合う。また、高齢者や障がいのある人にも、照れずにさりげなく手を差し伸べる勇気など、モノ・環境・情報という概念にとらわれず、その隙間に自己の確かな感情と感性で積極的に参加すること。人と人の間、それぞれの心の中に宿っていくHeart to Heartこそが私たちの望むユニバーサル・デザインであり、ユニバーサル・デザインとは「心のスパイス」と明言したい。