道州制のページ_考え方
道州制に関する福島県の考え方
1 第二期地方分権改革を優先させるべき
今、地方が優先すべきことは、国の権限や税財源の移譲、国からの規制や関与の廃止・縮小に向けた「第二期地方分権改革」を着実に推進していくことです。
平成19年4月に地方分権改革推進法が施行となり、現在、地方分権改革推進委員会において新たな分権改革に向けた具体的な検討が進められていますが、 道州制が進まないという理由で、こうした分権改革の取り組みが後回しとなってはなりません。
広域自治体の将来像は、地方分権の推進という大きな考えの下で、国のあり方、国と地方の関係、そして地方自治のあり方について、十分に議論を重ねる中で、長期的に検討されるべきものと考えます。
2 市町村合併の検証と住民自治の確保
市町村合併が一段落した今日、各市町村は自立に向けた道を模索している段階です。 道州制の議論においては、市町村合併の検証を通じて、 効率性だけではなく多様性や地域アイデンティティーを尊重した基礎自治体のあり方についての議論を十分に行うべきと考えます。
また、人口1千万人におよぶ道州で、果たして住民による自治が担保されるのか懸念しています。 住民自治の視点が置き去りにされたまま、効率化の実現を名目に、区割りを念頭に置いた議論が加速していくことに危惧の念を抱いています。
3 新たな道州内の一極集中を懸念
道州制は、「東京一極集中」の是正に貢献するものとして議論が進められておりますが、道州内の一部の大都市における「新たな一極集中」についても懸念されるところです。
今後、こうした点も課題の一つとして整理し、道州内の分散・均衡発展の観点からの議論を慎重に進めていく必要があると考えます。
◇参考資料:道州制に関する知事答弁
◎ 平成20年6月福島県議会定例会 <一般質問>
(質問)
県は、道州制について、今後どのように 対応していく考えなのか尋ねたい。
(知事答弁)
道州制につきましては、導入の必要性や内容についての十分な説明や合意がない状況の中で、「地方分権改革の総仕上げ」や「東京一極集中の是正」などの主張の下に、枠組みの先行の議論がまさに今、行われております。 そもそも道州制の必要条件であるはずの地方分権についても、先日も報道がありましたとおり、地方分権改革推進委員会の第一次勧告に対する政府の対処方針でさえ、例えば、農地転用など一部には、政府の姿勢が極めて懸念されるところがあり、今後の国の出先機関の見直し、また、税財源の移譲等を考えれば、前途は極めて厳しいものと言わざるを得ないと思います。 仮にこのような状況の下で道州制に移行しても、単に国の出先機関単位に都道府県の合併が行われるだけであり、福島県内59市町村は、人口約1千万にも及ぶ州の中の2百から3百になる市町村の一部となり、議会や行政も遠い存在になるなど、住民から見ればむしろ中央集権が進むようなことさえ懸念されます。 私は常々、国土の均衡性と人口の適正な分布が、我が国の発展と地方の自立にとって必要不可欠なものであると主張してまいりました。 しかし、一向にその是正は進んでおりません。 このような状況の中で、仮に、道州制が導入されれば、道州内における新たな一極集中が進むことにより、各地域の産業経済に大きな影響を及ぼし、地域や集落がさらに衰退するおそれもあると思います。 本県といたしましては、住民が主体となって、多様性を活かした特色ある地域づくりを進めるためには、住民の自治による真の分権型社会の確立こそが重要であると考えておりますことから、まずは、国の出先機関の見直しや、権限、税財源の移譲など、現在行われている第二期地方分権改革を確実なものとするとともに、道州制の議論に際しましては、国と地方の役割や基礎自治体の在り方など、住民からの目線で慎重な検討を重ねるべきである旨を、様々な機会を捉えながらこれからも主張してまいりたいと考えております。
◎ 平成19年12月福島県議会定例会<代表質問>
(質問)
県は、道州制についてどのように考え、どう情報提供していくのか尋ねたい。
(知事答弁)
次に、道州制につきましては、 政府の道州制ビジョン懇談会では今年度中の中間報告の取りまとめに向けて、具体的論点や現状認識についての議論が行われており、また、福田内閣総理大臣は所信表明演説の中で地方分権の総仕上げである道州制の実現に向け検討を加速すると述べるなど、国の道州制に関する議論が進められております。 私は、これまでも、全国知事会等の場で、まずは第二期地方分権改革として、国から地方への権限移譲を着実に進めるとともに、国土政策として、人口の偏在を早急に是正するべきであり、道州制の議論によりそれらが停滞してはならないと主張してまいりました。 また、住民の視点から見れば人口一千万人にも及ぶ巨大な道州で果たして住民による自治が担保されるのか不安がありますことから、市町村合併が一段落した今日、一度立ち止まり、合併の検証を通じて基礎自治体の在り方を考えるべきであり、ほかにも、道州内で新たな一極集中が発生するのではないかなど検討するべき課題がありますことから、引き続き、こうした課題について一つ一つ丁寧に検討し、慎重に議論を尽くすべきであると考えております。 本県としましては、今後とも、様々な機会をとらえ、こうした主張を行っていくとともに、広く県民や市町村へ情報提供し、地方六団体の連携の下、幅広い議論を喚起しながら、真の分権型社会における住民自治の確立を目指して、取り組んでまいりたいと考えております。
◎ 平成19年6月福島県議会定例会
<知事説明要旨>
道州制につきましては、私は、まず取り組まなければならないのは、権限や税財源の移譲による地方分権社会の実現であり、その導入については慎重に検討する必要があると機会をとらえ主張してまいりました。 現在、政府、与党において、道州制ビジョンの策定に向けて、各種議論が進められておりますが、特に、住民の立場からの検討が十分なされないままに議論が加速することには、危惧の念を抱いております。 先の知事会における議論の中でも慎重な対応を求める意見が相次いだところであります。 まさに将来の国と地方の在り方を決める重要なテーマであり、国民的な幅広い議論が必要であると考えております。 このため、県としても、今後、様々な情報提供を積極的に行いながら、市町村や県民の皆さんの道州制に関する議論が深まるよう努めてまいる考えであります。
<代表質問>
(質問)
県は、道州制についてどのように考え、どう情報提供していくのか尋ねたい。
(知事答弁)
次に、道州制についてでありますが、国においては、自民党の道州制調査会が中間報告を取りまとめ、また、「骨太の方針2007」の中に、道州制実現のための検討を加速する旨が記載されるなど、様々な動きが出てきているところであります。 こうした中、さきに開催された全国知事会の道州制特別委員会では、慎重な対応を求める意見が相次いだところであり、私も、特に、住民自治の視点や新たな一極集中を是正する観点からの十分な検討がなされないままに議論が加速することには、危ぐの念を抱いております。 まず、取り組むべきは、権限や税財源の移譲による地方分権社会の実現であり、道州制については、将来の国と地方の在り方を決める重要なテーマであることから、国民的な幅広い議論を尽くす必要があると考えております。 このため、県といたしましては、今後、地方六団体と連携して情報提供を共有するとともに県民の皆さんへの分かりやすい情報提供に努めてまいる考えであります。
(質問)
県は、道州制について、県民からの意見聴取も含めて、今後、どのように対応していく考えなのか尋ねたい。
(知事答弁)
道州制につきましては、先日閣議決定された「骨太の方針2007」において、道州制実現のための検討を加速する旨が盛り込まれるなど、国の道州制に関する動きが活発になっております。 しかし、私は、まず優先すべきは動き出した「第二期地方分権改革」を着実に進めることであり、道州制の議論により、国から地方への権限移譲や税財政制度の見直しなど、最優先で実施されるべき課題が、先延ばしされることがあってはならないと考えております。 また、人口一千万人にも上る道州で、本当に住民の意見が反映された自治が実現可能なのか、道州内で新たな一極集中が発生するのではないかなどの懸念もあり、慎重に議論を尽くすべきであると考えます。 このため、県といたしましては、市町村と共に、自治の在り方を研究している会議において、地方六団体の連携の下で、道州制に関連する情報を共有しながら、県民の皆さんへ、分かりやすい情報提供を行い、また、県へも意見を寄せていただくなどして、各方面で道州制に関する議論を深めていただけるよう努めてまいりたいと考えております。 ◇ ◇ ◇
◎ 平成19年2月福島県議会定例会
<知事説明要旨>
道州制につきましては、先日開催された全国知事会議において、私は「住民の意見を反映して進めるべきである」、「国土政策の中で人口分布を考えない限り、道州制を導入することになってもそこにおける新たな一極集中が懸念される」と慎重に検討する必要があることを申し述べてまいりましたが、まずは、地方分権改革を推進することが重要であると考えております。 御承知のとおり、昨年12月に地方分権改革推進法が成立したところでありますが、「住民が自治の主役である」という地方自治の本来の考え方に基づき、地域が自らの責任においてその在り方を決め、特色ある地域づくりが行えるようにするためには、権限や税財源をより住民に身近な地方に移すことが重要であるということを地方六団体とともに明確に主張してまいりたいと考えております。 今後とも住民の意向を尊重し、住民が主役となる「真の地方自治」の実現に向け取り組んでまいる考えであります。
<代表質問>
(質問)
道州制の導入の動きに対し、知事は、今後どのような姿勢で臨んでいく考えなのか尋ねたい。
(知事答弁)
道州制につきましては、昨年12月に道州制特別区域法が成立し、また、今月には政府の道州制ビジョン懇談会が初会合を開くなど、国の動きが活発化しております。
こうした中、私は、地方分権が不十分なままで道州制に移行した場合、住民から遠い巨大な道州で果たして住民による自治が担保されるのか、効率的な政府の実現という中で、地方へのしわ寄せが進むのではないかなどの懸念を抱いており、先月開催された全国知事会議におきまして、道州制を検討するに当たっては、62%が道州制に反対という先の全国世論調査の結果からも住民、国民の意見を反映して進めていかなければならないこと、国土政策の中で人口分布を考えなければ、新たな一極集中が懸念されることから慎重に対応すべきであると訴えたところであります。
そうした結果、知事会としては、道州制導入ありきだった原案から、道州制の検討に当たっての課題の提示という慎重な方向に内容が修正され意見集約が図られました。
私は、地方が今なすべきことは、国の関与を縮小し、地方の自由度と裁量権の拡大を図ることが重要であり、道州制など新たな地方自治制度への移行は、基本的にその先の課題であると考えておりますことから、今後とも、地方六団体との連携の下、真の地方分権改革の実現に向けて、積極的に取り組んでまいる考えであります。 ◇ ◇ ◇
◎ 平成18年11月福島県議会定例会<知事説明要旨>
道州制につきましては、新たに地方一極集中が生ずる懸念もあることから、地域の均衡ある発展という視点での検討も不可欠であり、地方分権の推進という大きな考えの下で、様々な角度から国民的な議論をする必要があるものと考えております。
<代表質問>
(質問)
道州制に対する知事の基本的考え方を尋ねたい。
(知事答弁)
道州制につきましては、現在、国会におきまして道州制特区推進法案が審議され、また、安倍内閣の下に新たに道州制担当相が置かれ、道州制ビジョン懇談会の設置が検討させるなど、国の動きが活発化しております。
こうした中、私は、現在議論されている道州制が、効率的な政府の実現を名目に区割りを優先した考え方によるものとなっておりますことから、これまでも問題視されてきました一部の大都市への一極集中が更に加速されるのではないかという点を最も懸念しているところであり、先日開催されました全国知事会議におきましても今日のアンバランスな人口一極集中の是正を訴えてまいったところであります。
こうしたことから、まずは、地方分権の推進という大きな考えの下で、広域自治体の在り方について、国民的な議論を重ねるべきであると考えており、その際には、特に、一極集中の防止や、地域の均衡ある発展という視点からの検討も行い、そうした上で、都道府県自らがその在り方を選択すべきであると考えております。