点字広報ふくしま第295号
<県政の窓> 福島県との新しい関わり方、広がっています。
新型コロナウイルス感染症の流行で、今、私たちの生活は大きく変化しています。ウィズ・コロナの社会において、どこにいても気軽につながることができる。そんな「ふくしまオリジナル」の新しい関わり方を紹介します。
1 若い人の移住、増えています!
昨年度1年間で、500以上の世帯が福島県に移住(定住・二地域居住)しました。
年代別に見ると、20代~40代の移住世帯数が全体の7割以上。首都圏の1都3県からの移住が5割を占め、都市部で「ふくしま暮らし」への関心が高まっています。
○ 令和元年度定住・二地域居住世帯数(※県庁地域振興課調べ)
県全体 509世帯 (内訳 会津地方 134世帯、中通り 227世帯、浜通り 148世帯)
2 関係人口から定住人口へ
県では、移住・定住の促進に加えて、関係人口づくりにも取り組んでいます。
「関係人口」とは、観光に来た交流人口でもなく、移住した定住人口でもない、特定の地域と継続的に関わる人々のことをいいます。
県内事業者が抱える課題解決のために都市部の副業人材とのビジネス交流の促進や、福島に滞在してテレワークと暮らしを体験するサポートなどを行っています。
多くの方に福島を好きになって、さらには「住みたい」と感じてもらえるように、継続的な支援を実施していきます。
3 インタビュー 活躍できる「場」を創りたい
テラス石森を企画・運営 一般社団法人Switch
代表理事 久保田 健一(くぼた けんいち)さん
田村市の廃校・旧石森小学校を活用して作られた県内初の複合型テレワークセンター「テラス石森」。ここを拠点に、田村を何かしたいと思える場所にしたいと活動しています。
久保田さんは、地域に課題を感じていたメンバーと共に、地域の担い手としてテラス石森を企画・運営しています。メンバー全員が別に本業を持つ副業人材。将来の選択肢を考えた時、地元が選択肢として選ばれるように、やりたいことができる場や機会をつくっていきたいと活動を始めました。
■ 都市人材も活躍中
Uターンなどの都市部の人材が就任することが多い地域おこし協力隊も、テラス石森を拠点に地域活性化に取り組んでいます。「外の市場に触れて学んできた方の意見は貴重。違う視点で視界を広げることができる。」都市部の人材の経験やアイデアは有用だと久保田さんは話します。
■ 地域ならではの活躍のために
県の人材マッチングサイトを利用して久保田さんらが都市部の副業人材を募集すると、短期間で複数人から応募が。久保田さんは「困っていることを具体的に発信したほうが、外の人たちは少しの知恵や技術、時間を使って手助けしてくれる」と、地域の方にも色々なサポートを活用してほしいと考えます。
テラス石森ではテレワークができる環境を用意して、地域の内と外をつなぐお手伝いをしています。地域のさまざまな立場の人たちが活躍できる場を創るために、まずは、「自分たちがやりたいことを楽しんでやれる環境を」との思いで、久保田さんたちは活動を続けます。
4 「福島に住んで。」アドバイザーを任命
県で開設した人材マッチングサイトを活用して、県でも3名の副業人材を受け入れました。その名も「福島に住んで。」アドバイザー。
アドバイザーの皆さんには、柔軟なアイデアとこれまでの各分野での経験を生かして、県の移住・定住促進のための広報戦略などについて、県の職員と一緒に力を合わせて考えていただいています。
■ アドバイザーに聞きました
◎ 鈴木 亜紀子(すずき あきこ)さん (NPO法人愛知ネット大府市民活動センター)
リモートであっても、だからこそできる福島の魅力発信に関わる仕事がしたいと考えており、今までの仕事の経験や、主婦や母親という等身大の視点を生かしていきたいと思い志望しました。アドバイスという一方通行なところで終わらず、今後も移住に携わる人たちと交わり、さらに、福島の関係人口を増やしていける取り組みに永続的に関わっていきたいです。
◎ 穂積 真人(ほづみ まさと)さん (株式会社東急エージェンシー)
私は現在、東京の広告代理店で働いています。「いつか、自分の経験や知識を故郷福島に還元したい」とずっと思っていました。日々本業で取り組んでいる、「さまざまな課題を広告や宣伝の力で解決する」という経験を生かし、少しでも福島の力になれるよう頑張ります!
◎ 森 禎行(もり さだゆき)さん (ヤフー株式会社)
これまで福島県産品ネット販売(昨年度売上26億円)や連続テレビ小説「エール」商品開発、メディア発信などに取り組みました。福島には魅力的な食が豊富で、熱意ある方がたくさんいます。未来を信じる多くの皆さまと協力し、福島が「日本一住みたい県・働きたい県」になるお手伝いをします!
<わかる県政> 福島県の新しいお米
県では、おいしいお米とお酒をつくるため、新たな品種を研究機関で開発しています。長年の開発により、昨年度は2種類の県オリジナル水稲品種が誕生しました。
■ 福、笑い(ふく、わらい)
【日本一の米をつくりたい。】
・品質と食味が優れる品種を目指して開発された主食用のお米です。
・名称には、生産者の皆さんも、消費者の皆さんも、「福、笑い」を手にした全ての方に、笑顔が訪れるようにとの思いが込められています。(名称決定 令和2年2月10日)
・大粒で、強い甘みと香りを持ち、やわらかめに炊き上がる特長があります。
・令和2年は先行販売を行い、令和3年の秋からは県のトップブランド米として本格的に販売がスタートします。県産米のイメージをけん引する存在になると期待されています。
■ 福乃香(ふくのか)
【香り高い日本酒づくりのために。】
・酒質が優れる品種を目指して開発された酒造好適米です。
・名称には、福島県オリジナルの香り高い日本酒となり、飲む人をはじめ、関係する全ての方に、「福」が訪れるようにとの思いが込められています。(名称決定 令和元年12月23日)
・酒造りで求められる心白(しんぱく)が入りやすい品種です。醸造には高い技術が求められますが、雑味が少なく、香り高くなる特長があります。
・福乃香を使用した日本酒は、21銘柄販売されています。(令和2年8月25日現在)
◆問い合わせ先 県庁農業振興課 電話番号 024(521)7336
情報ボックス
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止について
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防ぐためには、今後も長い期間の対策が必要です。私たち一人一人がこれまでの日常生活の行動を変え、「新しい生活様式」を実践しましょう。
○人との距離を取る(飛沫感染を防止するため、出来るだけ2メートル(最低1メートル)の距離を取る)
○外出時や会話をするときは、症状がなくてもマスクを着用する
○手洗いを徹底する
○こまめに部屋の換気をする
○「3つの密」を避ける(「密閉、密集、密接」を避ける)
○体温測定と健康チェックをする。発熱または風邪の症状がある場合は無理せずに自宅で療養する
■ 一般相談(コールセンター) 電話番号 0120(567)177
月~金曜日 午前8時30分~午後9時
土日祝日 午前8時30分~午後5時15分
県の対策や予防法などは一般相談窓口にご相談ください。
■ 受診・相談センター 電話番号 0120(567)747
受付時間 24時間(毎日)
発熱等の症状がある方は、まずは電話で、かかりつけ医や身近な医療機関へご相談ください。どこに相談していいか分からない方や夜間・休日に急に症状が悪化した場合は、「受診・相談センター」にご相談ください。
(11月1日から、従来の「帰国者・接触者相談センター」が名称変更して「受診・相談センター」になっています)
「見えないからできない」から「見えなくてもできる」を考えてみませんか?自分でできる!を増やしましょう
県では、視覚に障がいを持つ方を対象に、在宅生活訓練事業を行っています。視覚障害者生活訓練等指導員(歩行訓練士)がご自宅などにお伺いし、白杖やガイドヘルパーを使った歩き方、専用の音声ソフトを入れたパソコンの使い方、タブレットやスマートフォンの使い方、掃除や調理等の日常生活動作などについて一緒に練習を行います。今年4月から県障がい者総合福祉センターに歩行訓練士が配置され、より身近になった在宅生活訓練をぜひご活用ください。
受講を希望される方は、お住まいの市町村の障がい福祉担当窓口を通じてお申し込みください。
◆問い合わせ先 県障がい者総合福祉センター 電話番号 024(521)2824
おもいやり駐車場利用制度
障がいや難病等で歩行が困難な方、またはけが人や妊産婦等一時的に歩行が困難な方からの申し出により県が利用証を交付します。利用者は「おもいやり駐車場」ステッカーが表示されているスペースに利用証を掲示して駐車します。
「視覚障がい4級以上で歩行が困難な方」も本制度の対象となります。申請方法や申請窓口など詳しくは下記までお問い合わせください。
◆問い合わせ先 県庁障がい福祉課 電話番号 024(521)7170
電話・オンライン子育て相談
県助産師会では子育て世代の方々に気軽に相談いただけるよう無料電話相談や、LINEなどによるオンライン相談を受け付けています。
妊娠中や小さなお子さんの健康、子育てに関する不安など、さまざまな悩みに助産師がお応えします。一人で悩まず、お気軽にご相談ください。
■ 対象者 妊婦、乳幼児を持つ保護者やその家族など
■ 相談ダイヤル 0120(80)2051
■ 受付時間 午前9時30分~午後4時30分、月~金曜日(祝休日を除く)
◆問い合わせ先 県庁子育て支援課 電話番号 024(521)8205
東日本大震災・原子力災害伝承館
今年9月20日、双葉町に開館しました。
2011年3月11日に発生した東日本大震災および原子力災害の記録と記憶、教訓を国や世代を越えて伝えるとともに、復興に向けて進む福島県の姿と国内外からの支援に対する感謝の思いを発信する施設です。
皆さまのご来館をお待ちしています。
■ 入館料
一般・大学生600(480)円
高校生・小中学生300(240)円
※ かっこ内は20名以上の団体料金
■ 開館時間 午前9時~午後5時(最終入館は午後4時30分)
■ 休館日 毎週火曜日(火曜日が祝日の場合は翌平日)、年末年始(12月29日~1月3日)
■ 所在地 〒979-1401 福島県双葉郡双葉町大字中野字高田39
◆問い合わせ先 東日本大震災・原子力災害伝承館 電話番号 0240(23)4402
点字図書館だより
1 「令和元年度 増加図書目録」について
当館で令和元年度に所蔵した図書の目録が完成しました。
点字版、活字版、デイジー版があります。目録には、書名・著者名・分類番号と巻数や時間などを記載しています。
本誌(点字広報ふくしま)に毎回掲載している「新刊案内」と重複するため、全利用者への配布はしません。1年分がまとまったものを希望する方は当館までご連絡ください。1人1種類に限り、無料でお送りします。
2 効果的な換気の方法
新型コロナウイルス感染症を含む感染症対策の一つとして「換気」は大変重要です。換気とは室内の空気と外の空気を交換することです。しかし、正しい換気の方法については映像によるものが中心で分かりづらいため、自己流で行っている方も多いかと思います。そこで、それらを言葉に置き換えて紹介しますのでぜひ実践してみてください。(エアコンは室内の空気を循環するだけで、換気対策にはなりません)
1 自宅に24時間換気システムが設置されている場合は、きちんと正しく使いましょう。
・スイッチが切れていると作動はしていません。全てのスイッチを入れたままにしておきましょう
2 窓を開けて空気の通り道を作りましょう。
(1時間に10分の換気を1回するよりも、1時間に5分の換気を2回する方が効果的です。回数を多く行いましょう)
・部屋の対角線上にある2つの窓を開けると効果的です
・風が入りにくい場合は、外から空気が少しでも多く入ってくる側の窓を小さく開けて、外に空気が出る側の窓は大きく開けましょう
・窓が一つしかない場合は、窓のそばに扇風機などを置いて風の流れを作りましょう
・窓がない場合は、部屋のドアを開けて扇風機などを置き部屋の外に空気が流れるようにしましょう
3 台所の換気扇を活用しましょう。
・窓を開けたまま台所の換気扇を運転すると、換気をアシストすることができます。窓開けと換気扇の併用は効果的です。台所からできるだけ離れた窓を開けるようにしましょう。
(ダイキン工業株式会社・ダイキンWEBサイトより一部引用)
今回紹介した「効果的な換気の方法」に加え、7月号に掲載の「正しい手洗いの仕方」、日々の生活では欠かせなくなった「マスクの着用」、「アルコール消毒」、「人との距離を保つこと」を意識して行い、冬場の感染拡大を予防しましょう。
3 年末年始の休館日について
令和2年12月27日(日)から令和3年1月5日(火)は、休館日となります。貸し出しの申し込みなどの連絡は、12月16日(水)までにお願いします。
◆県点字図書館 電話番号 024(531)4950
みんなの広場
宇宙は誰もが見られない、触れないもの
福島県立視覚支援学校 教諭 佐久間 理江
私は小さな頃から星が好きで、日食、月食、ハレー彗星など天体ショーがあると、実家が県庁近くだったので、阿武隈川の土手で眺めていました。働き始めた頃から視力が落ち、今は金星や木星など明るい星しか肉眼では見えません。仕事を続けるにあたり、自信をもって伝えられるものが欲しくて、さまざまな研修会に行き、その中で日本天文教育普及研究会を知りました。研究会で横浜訓盲学院理療科教員だった全盲の方と、一般企業の全盲の研究者と知り合いました。2018年年会のテーマがユニバーサルデザイン天文だったので、「視覚障害者天文友の会」として3人で視覚障がい者の天文の楽しみ方を発表しました。宇宙全体を見ると、視覚障がいの有無に関わらず、見えない、触れないものばかり。そんな宇宙の面白さを多くの人に伝えたいです。
昨年世界で初めて撮影に成功したブラックホールシャドウの写真は、ミスタードーナツのチョコファッションと見た目が似てるんですよ。特に眼鏡をはずした人や弱視の人が、並べた写真を見ると一瞬区別がつかず面白いです。また、岩手の佐藤さんは、自宅で流星電波観測をしており、YouTubeでライブ配信しています。流星が流れると、ラジオと同じザーというノイズの中に、ポーンと高い音が聞こえます。電波観測なら昼夜天候関係なく誰でも音で流星観測できます。「佐藤昌也のライブストリーム」で検索し、12月4日からのふたご座流星群を観測してみてください。
協力会だより
福祉体験活動の「点字体験」
(一社)福島県視覚障がい者協力会 齋藤 昌美
6月29日、福島市立信夫中学校にて毎年行われている福祉体験活動のなかの「点字体験」で、点訳奉仕員の野地イチ子さん、事務局の佐藤美香次長と共に講師を務めさせていただきました。
今年は、新型コロナウイルス感染症対策をしながらの体験活動となりました。
はじめに、点字の歴史や視覚障がいについてのお話では、理解しようと熱心に聞く中学生の姿勢がうれしく思いました。
次に、点字の仕組みや読み方、書き方をDVDで学習し、自分の名前を打つ練習から始めました。
点字を打つことに慣れてくると自由に好きな文字を打って、点筆の感触や音を楽しんでくれているようでした。
点字を練習している間、少人数のグル-プごとに点字版の教科書や絵本、点字のトランプや日常売られている点字がついている商品を見てもらいました。
点字一覧表と見比べながら、その商品に何と書いてあるか挑戦する生徒さんもいました。
最後に、野地さんが作ってくれた生徒さんの名前を点字で書いた「しおり」をプレゼントして点字体験は終わりました。
この体験をきっかけに、視覚障がい者の福祉に関心をもっと持っていただけたらうれしいです。
◆県視覚障がい者協力会 電話番号 024(533)4085(Fax兼用)
生活支援センターだより
1 生け花教室のご案内
当センターでは、「お正月にお花を飾りましょう」をテーマに生け花教室を開催します。前回同様に少人数での開催となります。参加を希望される方は、支援センターまでお申し込みください。
■ 日時 12月24日(木)午後1時から3時
■ 場所 生活支援センター 和室
■ 講師 小原流 師範 松田 知子氏
■ 会費 1,000円(お花代)
■ 定員 4名
■ 持ち物 はさみ、新聞紙、タオル
2 支援センターの新たな展示機器のご紹介
今年度、当センター展示品に電子ルーペ「クローバー3」が加わりました。携帯しやすいポケットサイズで、重さも100gと軽く外出先での利用に便利です。倍率は3.8倍から16倍です。価格は29,800円(非課税)。電子ルーペは、ルーペ感覚で気軽に使用できますが、拡大読書器より倍率が低く、セカンド機的な使い方に適しています。
そのほか、軽くて丈夫な国産のセガワケーン(白杖)について、石突の異なる杖を展示していますので、お試しください。
白杖は補装具として申請できます。耐用年数はおおむね2年(携帯用で複合素材の場合)です。ご自分に適した杖を見つけてみませんか。
◆県視覚障がい者生活支援センター 電話番号 024(535)5275
福祉協会だより
「音の出る信号機」と「音声案内装置」の設置場所が決まる
今年度もラジオ福島のラジオ・チャリティー・ミュージックソンからのご支援をいただき、本協会でお願いした場所に「音の出る信号機」が2カ所、「音声案内装置」が1カ所、新たに設置されることとなりました。
設置される場所は、「音の出る信号機」が新白河駅東口と郡山駅西口の各交差点で、「音声案内装置」は本宮駅前です。
今年度は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、設置場所の選定作業が遅れ、信号機や案内装置は現在、設置されていません。後日、設置され稼働し始めたら改めてお知らせしますので、近くを通られた際には、ぜひ、ご利用ください。
また、来年度の設置に向けて、「音の出る信号機」や「音声案内装置」の設置希望場所をお知らせください。皆さまのご要望をお待ちしています。
◆県視覚障がい者福祉協会 電話番号 024(535)5275