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県議会定例会(平成28年12月)

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年12月6日更新

平成28年12月福島県議会定例会知事説明要旨(平成28年12月6日)

 12月県議会定例会が開催されるに当たり、当面する重要な議案を提出いたしました。
 以下、そのあらましについて御説明いたしますが、それに先立ち、当面の諸課題について所信の一端を述べさせていただきます。

東日本大震災からの復旧・復興について

 はじめに、「避難地域の復興再生」についてであります。
 10月に川俣町山木屋地区の来年3月31日の避難指示解除が決定し、先月1日から浪江町で準備宿泊が開始されるなど、避難地域の解除に向けた動きは更に進んでまいりましたが、復興のステージの進展や避難の長期化に伴い、避難者の置かれた状況は今後ますます多様化してまいります。
 県といたしましては、安心して帰還できる環境づくり、帰還困難区域の復興に向けた取組に全力を尽くすとともに、刻々と変わる避難地域の復興状況を避難者の皆さんに丁寧にお伝えし、それぞれの選択や事情に応じた帰還支援、生活再建支援を、避難者の古里に対する思いに配慮しながら、きめ細かく行ってまいります。避難指示区域以外の地域から避難した方につきましても、安定的な生活が図られるよう、戸別訪問等の結果を踏まえた住宅確保支援施策を講じてまいります。
 また、官民合同チームと連携して、引き続き事業者の事業・生業の再建に向け寄り添った支援を行うとともに、被災地域における創業支援を新たに実施してまいります。
 賠償につきましては、今後の農林業の営業損害賠償に関する素案について、原子力損害対策協議会として、JA協議会と合同で、国、東京電力等に対し、農業者や関係団体の意向を十分に踏まえ、見直すよう強く求めた結果、今月1日、東京電力から見直し案が示されたところであります。今後は、原子力損害対策協議会の全体会議を開催し、関係機関の意見を伺いながら、的確な賠償がなされるよう取り組んでまいります。

 次に、「環境回復」について申し上げます。
 中間貯蔵施設につきましては、先月15日に受入・分別や土壌を貯蔵するための施設が着工となり、本格的な整備が開始されました。県といたしましては、引き続き、地権者への説明が円滑に進むよう丁寧な対応を国に求めるとともに、施設の整備と除染土壌等の搬出が早期かつ安全・確実に進められるよう、しっかりと取り組んでまいります。
 また、生活環境の安全・安心を確保するため、環境モニタリングの実施と結果の分かりやすい発信に努めるほか、帰還困難区域における除染の確実な実施を国に求めてまいります。
 特定廃棄物の埋立処分事業につきましては、先月29日に産業廃棄物技術検討会を開催し、国がまとめた輸送計画について専門家の意見を伺ったところであります。県といたしましては、引き続き国に対し、地元への丁寧な対応を求めるとともに、埋立処分事業の安全性がしっかり確保されるよう、関係機関との協議・調整を進めてまいります。
 原子力発電所の安全確保につきましては、昨日、福島第一原子力発電所3号機原子炉の冷却が一時停止するという重大なトラブルが発生し、また、先月22日の福島県沖地震に際しては、福島第二原子力発電所で3号機の使用済燃料プールの冷却が一時停止するなど、福島県全体に不安を与える事態が立て続けに発生いたしました。
 東京電力に対して、改めて廃炉に向けた取組の安全確保を求めるとともに、県民の強い思いである県内原発の全基廃炉の決定を国や東京電力に繰り返し要請してまいります。

 次に、「風評・風化対策」について申し上げます。
 10月のアメリカ合衆国訪問では、国際連合本部等において日本の道府県知事として初めて講演を行うなど本県の復興の現状と課題を伝え、お会いした多くの方々から好意的に受け止めていただいた一方、風化の度合いが国内以上に深刻であることを改めて実感いたしました。
 今回やこれまでの各国への訪問等で築いたつながりやきずなを土台に、福島への理解と共感が世界のより多くの方々に伝わり、広がるよう、効果的な発信に取り組んでまいる考えであります。
 また、スキー場などの冬の地域資源をいかし、オーストラリア、台湾、タイ等からの冬季の観光誘客を進めるほか、先月実施したベトナムミッションなど、今後発展が見込まれる東南アジアとの経済交流・観光交流にも力を入れてまいります。
 国内に対しては、本県への共感を更に高めるため、ふくしまの今を伝える「歌」や動画、親しみやすい内容の総合情報誌を制作するなど、多くの人の心に届く、響く斬新かつ繊細な発信を行ってまいります。
 先月には、アニメコンテンツの活用やドローンによる神旗争奪戦など独特の企画を盛り込んだ「マジカル福島2016」が開催されたところであり、教育旅行の再生やホープツーリズムの推進に加えて、「クールふくしま」という新たな魅力の醸成を図るなど、何度でも訪れたくなる福島を目指し、様々な取組に挑戦してまいります。

 次に、「産業政策」について申し上げます。
 新産業の育成・集積につきましては、世界の英知を結集し海外全体をマーケットとする上でも、国際的な連携協力は不可欠であります。
 そうした中、ドイツのノルトライン・ヴェストファーレン州との間に締結した連携協定に基づき、合弁企業の設立や販売契約締結等の動きが出るなど、経済連携の成果が目に見えて現れてまいりました。
 先月7日には、医療機器の研究開発から事業化までを一体的に支援する国内初の拠点となる「ふくしま医療機器開発支援センター」が開所し、産総研福島再生可能エネルギー研究所と併せて、産学官連携により福島の産業の裾野を広げ、更なる高みへと躍進するための足掛かりもできたところであります。
 企業参入や新たな企業連携の契機となる再生可能エネルギー関連、ロボット関連、航空宇宙関連などの各種産業フェアにおいても、多くの参加企業や来場者で活況を呈しました。また、2020年のロボット国際競技大会「ワールドロボットサミット」のインフラ・災害対応分野の一部競技について、現在整備を進めているロボットテストフィールドでの開催が決定いたしました。
 現在、こうした産業振興施策の方向性を明確にするため、新生ふくしま産業プラン、工業プランの見直し作業を行っているところであり、これまで本県が培ってきたものづくりの技術を更に育て上げ、磨き上げて、福島ならではのオンリーワンの技術や製品を世界に向け発信していくための基盤づくりを一層進めてまいります。

 次に、「農林水産業の再生」について申し上げます。
 本県の農業は、根強く残る風評の影響等により、いまだ厳しい状況が続いているものの、官民挙げての販路拡大に向けた取組により、一部店舗における売り場の回復や販売単価等に改善が見られるなどの成果が現れてきているほか、桃や梨に続く会津身不知柿の輸出再開など、県産農産物等の海外市場の回復に向けた歩みも着実に進んでまいりました。
 また、震災以降、様々な交流、体験活動等を通して、県内外の企業や消費者、若者などの間に県産農産物を応援するきずなやネットワークが広がり、県内各地で、新しい農業へチャレンジする動きや、若者の知恵等を活用した六次化商品の開発、伝統野菜復活への取組などが精力的に進められております。
 引き続き、原子力被災12市町村農業者支援事業を活用した避難地域等の営農再開支援はもとより、こうした明るい流れや動きを追い風にしながら、新規就農者の育成強化、農地中間管理事業を活用した経営規模の拡大、六次産業化などに取り組み、基幹産業である農林水産業の力強い再生を図ってまいります。

 次に、「子ども・若者育成」について申し上げます。
 先月29日、来春統合する小高商業、小高工業高校や再開する小高小中学校の若手教員との意見交換を行い、希望ある古里の復興とその担い手育成に掛ける熱い思いを直接肌で感じました。
 福島が取り組もうとしている水素やロボットなど、未来社会を支える産業・技術に本県の若者が関わり、社会の発展に貢献していくことは、子どもたちの郷土への誇りを育み夢を広げる上でも、大変すばらしいことであると考えております。9月に策定した第10次福島県職業能力開発計画においても、新たな時代をけん引する産業分野の人材育成を盛り込んだところであり、奨学金返還支援事業により将来の産業を担う意欲ある若者の県内への定着・環流を図るなど、産業人材育成・確保の取組を関係機関と一体となって推進してまいります。
 また、本県の強みや課題を踏まえた教育施策の方向性を示した「頑張る学校応援プラン」を教育委員会が年度内に取りまとめる予定であり、学力の向上や創造的復興教育、地域と共にある学校づくりなど、福島ならではの教育が重点的、戦略的に推進されるよう、教育委員会と連携を強化してまいります。

 次に、「医療等提供体制の整備」について申し上げます。
 本県では、震災や原発事故の影響により、地域の急速な高齢化や、特に被災地で顕著となっている深刻な医療福祉従事者の不足が大きな課題となっております。
 とりわけ、認知症対策や救急医療、在宅医療を含め地域医療の確保は最優先の課題であり、医療・介護の需要が増大すると予想される2025年を見据え、年内に策定する「地域医療構想」に基づき、その状態に応じたふさわしい医療を受けることができる効率的で質の高い体制整備を進めてまいります。また、その要となる医療福祉人材についても、公立双葉准看護学院の南相馬市での再開の支援に加え、民間養成機関の開設の動きも進んでいるところであり、保健医療従事者養成施設の整備と合わせ、関係機関と緊密に連携しながら、チーム医療を将来的に支える人材の確保等を図ってまいります。
 来週全面開所を迎える「ふくしま国際医療科学センター」を中核として、県民健康調査による県民の健康の長期的な見守りや最先端の医療の提供等により、全国に誇れる健康長寿県の実現に向けた環境づくりにも力を注いでまいります。

 次に、「インフラの復旧・復興」について申し上げます。
 JR常磐線相馬以北の再開通、基幹的な道路の整備の進捗など、復興を支える交通網は着実に復旧・構築されてきております。
 こうした中、JR只見線につきましては、上下分離方式による鉄道復旧案について、その工法、工事費、JR負担割合が固まったことから、バス転換案と併せて、先頃、地域住民の皆様から御意見を伺ったところであり、地元の思いに応えられるよう、年内にも検討会において復旧方針を取りまとめてまいりたいと考えております。
 また、物流や交流の要となる港湾につきましては、LNGの受け入れ・供給拠点の整備を進めている相馬港において、天然ガス発電の事業化が決定したほか、国際バルク戦略港湾である小名浜港については、およそ20年から30年先を見据えた港湾の長期構想を今月中に策定する予定であります。
 今後とも、速やかな復興に寄与できるよう、インフラの復旧・整備の加速化を図ってまいります。

 次に、「地域創生・人口減少対策」について申し上げます。
 平成27年国勢調査の確定値が公表され、前回調査からの人口減少率で福島県や県内被災町村が上位に入るなど、本県の置かれた状況は極めて深刻であり、先月公表した現住人口調査では、戦後初めて190万人を下回り、減少傾向が続いております。
 震災以降の人口減の半数以上は震災前からの構造的な要因によるものと考えられ、こうした人口の構造減に歯止めを掛けるためにも、復興と共に地方創生の取組が重要となります。
 特に、東京圏への人口の一極集中化が更に進む中、自分らしさを求める若い世代の地方回帰の動きが全国的な注目を集めております。
 このため、県外の若者が福島の暮らしを学び、体験する「ふくしまふるさとワーキングホリデー事業」を実施するほか、福島の復興に携わる人々の姿を積極的に発信していくなど、若者等も対象とした定住・二地域居住の推進に力を入れてまいります。
 また、インターネットを通じて資金調達する手法を活用した事業者支援や首都圏等の学生の県内企業におけるインターンシップにも取り組むなど、「ふくしま創生総合戦略」に基づき、新しい人の流れづくり、しごとづくり、結婚・出産・子育て支援、地域の新たな魅力の創出といった様々な施策を総合的・重点的に、スピード感を持って進めてまいります。

 次に、「東京オリンピック・パラリンピック大会に向けた取組」についてであります。
 小池都知事が初めて福島に来県し開催されたオリンピック・パラリンピックフラッグツアーセレモニーでは、都知事の「復興五輪」に対する熱い思いをしっかりと受け止めました。
 野球・ソフトボール競技の本県誘致につきましては、先月、視察のため来県した世界野球・ソフトボール競技連盟会長に対して県内開催の意義を強く訴えたところであり、「復興五輪」のシンボルの一つとして、引き続き、県内開催の実現に向けて取り組んでまいります。

県民の安全・安心の確保について

 次に、「県民の安全・安心の確保」についてであります。
 先月22日に発生した福島県沖地震は、東日本大震災以来の大きな地震であり、津波警報が発令されたことから、沿岸部の市町においては避難指示や避難所開設など速やかな対応がとられたところでありますが、避難情報の伝達や要支援者の避難について検証を進めながら、今後とも、県民の安全・安心の確保に取り組んでまいる考えであります。

鳥インフルエンザについて

 次に、「鳥インフルエンザ」についてであります。
 今月2日、福島市内で死亡した野鳥から簡易検査で鳥インフルエンザウイルスの陽性反応が確認されたことから、ただちに庁内関係部局による連絡会議を開催し、現在、発見場所から半径10キロメートルの監視区域を中心に、野鳥や家きんの感染状況を継続的に監視するとともに、県内の100羽以上飼養農場に対して情報提供し、防疫対策の徹底を指導しております。
 これまでのところ、県内の養鶏農場等における異常は確認されておりませんが、全国的にも野鳥や養鶏農場での高病原性鳥インフルエンザウイルス感染が確認されていることから、引き続き感染防止に万全を期してまいる考えであります。

職員不祥事の再発防止について

 次に、「職員不祥事の再発防止」についてであります。
 職員の不祥事が相次いだことは、県民の県政に対する信頼を大きく損ない、ひいては復興施策の遂行にも支障を生じかねない、極めて深刻な事態であり、県では、これまでの取組に加え、専門家を講師とする職員研修やチェックシートを用いた自己点検等により、全庁を挙げて職員への意識付け、風通しの良い職場づくりに取り組んでおります。
 今後、危機感と法令遵守意識が確実に浸透するよう繰り返し徹底し、県民の信頼回復を図ってまいる所存であります。

10月末に開催された九都県市首脳会議では、本県の高校生が参加し、「学びの場として、新たな魅力が福島にはある。是非来て欲しい」と自分たちの言葉で訴え、それに対して、横浜市の高校生からは「同世代の話を聞くことで、より理解が進む」との発言があり、九都県市として震災の記憶を忘れず、福島の復興に一層取り組むことが共有されました。
 多くの支援や応援に支えられて子どもたちが成長し、その子どもたちの姿が新しい応援の力を引き出す。震災からの5年半の間に、こうした応援の輪の広がりの中で、若い力、新しい力が育ち、チャレンジの動きが芽吹いていることを、心から頼もしく感じております。
一方で、8万人を超える県民が避難生活を送り、長期にわたる廃炉に向けた取組など、福島が抱える課題は重く、真の復興を果たすまでには、まだまだ多くの時間を要します。
 県民が望む復興をしっかりと形にしていくため、先月17日には平成29年度の政府予算編成に向けた緊急要望を、昨日には帰還困難区域の復興やイノベーション・コースト構想の更なる推進など福島復興再生特別措置法の改正に関する緊急要望を行い、福島の厳しい現状を国に強く訴え、復興に向けた取組の加速を求めてまいりました。
 今後とも、一人でも多くの県民が復興を実感し、笑顔を取り戻すことができるよう、財源の確保、法制度の充実など復興を支える足固めをしっかりと行い、福島に心を寄せてくださる国内外の全ての方々と手を携え、新しい未来を拓き世界に誇れる福島の実現に全力を傾けてまいる覚悟であります。

提出議案について

 提出議案について御説明申し上げます。
 平成28年度一般会計補正予算案につきましては、国の平成28年度第2次補正予算を活用する事業を始め、復興・再生に向けて緊急に措置すべき経費などについて計上いたしました。
 その主な内容といたしましては、交流人口の拡大や定住につなげるための事業の実施に要する経費、外国人観光客の更なる誘客促進に要する経費、避難者の方々の生活再建に向けた住宅確保の支援のための経費などを計上いたしました。
 これによる一般会計補正予算の総額は、265億1千1百万円となり、本年度予算の累計は2兆3,362億3千7百万円となります。
 特別会計等補正予算案につきましては、母子父子寡婦福祉資金貸付金特別会計など8会計につきまして、それぞれ所要の経費を計上いたしました。
 その他の議案といたしましては、条例が「福島県立特別支援学校条例の一部を改正する条例」など19件、条例以外の議案が「工事請負契約について」など21件で、いずれも県政執行上重要な案件であります。
慎重に御審議の上、速やかな御議決をお願い申し上げます。

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