県議会定例会(令和7年9月)
印刷用ページを表示する 掲載日:2025年9月16日更新
令和7年9月福島県議会定例会知事説明要旨(令和7年9月16日)
9月県議会定例会が開催されるに当たり、当面する重要な議案を提出いたしました。
以下、そのあらましについて御説明いたしますが、それに先立ち、県政に関する当面の諸課題について所信の一端を述べさせていただきます。
以下、そのあらましについて御説明いたしますが、それに先立ち、県政に関する当面の諸課題について所信の一端を述べさせていただきます。
東日本大震災からの復旧・復興について
はじめに、「避難地域の復興・再生」についてであります。
避難地域では、7月15日から浪江町の特定帰還居住区域における準備宿泊制度が開始され、同月29日には、葛尾村の一部に県内6例目となる特定帰還居住区域が設定されました。
また、双葉町が整備を進めてきた公設民営による商業施設が先月1日に開所し、住民の皆さんの利便性も大きく向上するなど、住民帰還や復興に向けた動きが力強さを増しております。引き続き、住民の皆さんが一日も早く古里に帰還できるよう、国や地元自治体と緊密に連携しながら、帰還や移住環境の整備等に取り組んでまいります。
一方、長い戦いとなる本県の復興は、依然として困難な課題が山積しております。このため、先月末に開催された福島復興再生協議会では、国に対し、新たな復興の基本方針の下、第3期復興・創生期間の初年度となる令和8年度予算の確保はもとより、中長期にわたり切れ目なく安心感を持って復興への挑戦を続けるために必要な財源と枠組み、復興を支える制度をしっかりと確保するよう求めたところであります。
こうした様々な機会を捉え、予算確保を訴えてきた結果、国の来年度予算概算要求においては、おおむね本県の要望を踏まえた内容が盛り込まれており、今後も国に対し、福島の現状を丁寧に訴えながら、本県の復興に最後まで責任を果たすよう強く求めてまいります。
次に、「環境回復」について申し上げます。
福島第一原発の廃炉につきましては、5号機に貯蔵されている使用済燃料の取り出しが7月23日から開始され、3号機の燃料デブリについても、本格的な取り出しに向けた準備作業の内容や工程等に関する検討結果が示されました。
燃料デブリの取り出しに当たっては、原子炉内部の正確な状況把握に加え、作業の安全確保や一時保管の在り方など多くの課題があることから、今後も国や東京電力に対し、様々な知見を取り入れながら、安全最優先で着実に進めるよう求めてまいります。
また、除去土壌等の県外最終処分につきましては、7月に首相官邸の前庭において除去土壌が初めて復興再生利用され、先月26日には、「福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた復興再生利用等の推進に関するロードマップ」が公表されました。
ロードマップでは、中央官庁等における復興再生利用事例の創出や新たな有識者会議の設置が示されたほか、おおむね2035年を目途に県外最終処分場の候補地選定等を行うことが明記されたものの、最終処分場の用地取得や建設、運搬など、候補地選定後におけるプロセスやスケジュールが明確に示されていないことから、引き続き、具体的な工程等を速やかに明示し、政府一丸となって最後まで責任を持って対応するよう求めてまいります。
一方、こうした原発事故からの環境回復に取り組む中、先般、本県の猪苗代湖が、国際的に重要な湿地としてラムサール条約湿地に登録されました。これにより、県民の皆さんの環境保全意識が一層高まるとともに、猪苗代湖の国際的な認知度向上に伴い、来訪者の増加や学校教育における活用など、様々な効果につながるものと期待しております。
また、これら湖沼や森林を始めとする水源地域について、近年、土地買収や開発行為が全国的に発生しており、本県においても水源涵養機能の低下や災害の発生などが懸念されております。
このため、届出制度と立入調査等制度を両輪とした「福島県水源地域保全条例案」を今定例会に提案し、水源地域の保全や土地の適正利用の更なる強化を図ってまいります。
次に、「風評・風化対策」について申し上げます。
7月19日に大阪・関西万博において県の単独出展を実施し、国内外から多くの方々に来場いただくことが出来ました。
私自身も会場に赴き、来場された皆さんに対し、これまでの御支援に対する感謝の思いをお伝えしたほか、エアレース・パイロット室屋義秀さんとのトークセッションや、県産の桃、日本酒の振る舞い等を通じて、復興が進む「福島の今」と、果敢に挑戦する姿を広く発信してまいりました。今後もあらゆる機会を捉えて、本県の現状や様々な魅力を発信し、福島を直接、「見て」「感じて」いただけるよう取り組んでまいります。
また、11月14日には、東京2025デフリンピックサッカー競技が本県のJヴィレッジにおいて開幕いたします。世界中から多くの方々が本県を訪れ、笑顔で応援していただけるよう、効果的な情報発信による機運醸成を図っていくとともに、本県主催のオープニングセレモニーを開催するなど、選手団や観客の皆さんを万全の体制でお迎えする準備を進めてまいります。
次に、「産業政策」について申し上げます。
令和5年に本県から出荷された医療用機械器具における部品等の出荷金額が、過去最高の442億円を記録し、14年連続で全国1位を達成しました。
こうした産業集積が着実に進む中、県内企業からは、医療機器の開発に携わる人材の育成・確保が強く求められており、県では今年度から、実業系の高校生を対象とした実践的な人材育成等に力を入れております。これらの取組を通じて、多くの若者が医療機器関連産業への理解を深め、自らの進路選択について考える契機となるよう努めてまいります。
また、4月1日から3か月間にわたって実施してきた「プレDC(ふくしまプレデスティネーションキャンペーン)」が終了し、市町村の関係者からは、250を超える特別企画などにより、「各地で賑わいが見られた」との声が寄せられております。
引き続き、来年のDC本番に向け、おもてなし力の向上や観光資源の磨き上げを目的としたセミナー等の開催を始め、大ゴッホ展と連動した観光誘客や「ふくしまアートツーリズム」の推進、登録者数が1万人を突破した「ふくしまDCローカルアンバサダー」による魅力発信など、更なる誘客促進を図ってまいります。
一方、米国による関税措置につきましては、現時点で直接的な影響が生じている県内企業は限定的であるものの、今後も県内経済への影響を注視していく必要があります。
このため、関税措置などの影響を受ける県内中小企業等へ専門家を派遣し、経営課題の解決や経営力の強化を支援するための経費を今定例会に計上するとともに、欧州・台湾をターゲットにしたプロモーション活動等により、県産品の新たな販路を開拓するなど、県内企業の事業活動を丁寧に支援してまいります。
次に、「農林水産業の再生」について申し上げます。
生産者が誇りと情熱を持って育んだ県産農林水産物の魅力を「ふくしまプライド。」の言葉に込めて発信してから10年の節目を迎える中、今年もトップセールスで県外の大消費地や県内スーパー等を訪問し、「ふくしまプライド。」がぎっしり詰まった生産者自慢の逸品をお届けしてまいりました。
今後も更なる販路拡大を進めることはもとより、県産農林水産物を活用した新たな商品の創出を図るため、食品事業者や農林漁業者、卸・小売事業者等と連携し、地域全体で食と経済の好循環を生み出す仕組みづくりに取り組んでまいります。
また、米の価格高騰が大きな社会問題となる中、先般、国が実施した令和7年産米の作付意向調査では、本県における主食用米の作付面積が大幅に増加しております。
このため、引き続き、関係団体と連携しながら、需要に応じた米の生産を図っていくとともに、県産米のブランド力向上や産地力の強化による生産支援、多様な担い手の確保、高温に強い品種開発等を進めてまいります。
林業につきましては、建築物における県産木材等の利用を促進するため、先月19日に福島県建築士会と協定を締結したほか、10月25日に開催する「福島県林業祭」が50回目の記念大会を迎えることから、林業の魅力を体験できる多彩なイベント等を実施し、幅広い世代の方々に林業への理解と興味喚起を図ってまいります。
水産業につきましても、昨年度の沿岸漁業における新規就業者数が、震災後最多を記録したことを踏まえ、小中学生を対象とした漁業体験イベントの開催や、漁業現場における新規就業者向けの技術研修を支援するなど、漁業復興を力強く後押ししてまいります。
次に、「県民の健康増進」について申し上げます。
先月、県内の小学生たちが県庁を訪れ、食事や運動、睡眠など、日頃の行動を見直し、頑張れば改善できそうなことを「健康に暮らすための約束」として、私の前で発表してくれました。
彼らが実践してくれたように、健康的な暮らしを送るためには、日々の生活習慣を見直すことが大切です。こうした意識が広く浸透するよう、イベントの開催等を通じて、健康的な生活習慣を楽しみながら学べる機会を提供していくほか、女性の健康づくりや働きやすい職場づくりに取り組む事業所への奨励金の交付、さらには、働く世代における「がん検診」の受診率を向上させるため、新たな補助事業を実施するなど、県民一丸となって健康長寿県の実現を目指してまいります。
また、人件費・物価の上昇などにより、本県のみならず、全国的に医療機関等の経営安定化や、医療・福祉・介護人材の確保が大きな課題となっています。このため、7月に開催された全国知事会議では、社会保障常任委員長として、国に対する提言を取りまとめ、先月20日、厚生労働省への要請活動を実施いたしました。引き続き、来年度予算において、報酬改定を始めとした必要な対応策が確実に講じられるよう、全国知事会と連携しながら国に求めてまいります。
次に、「子ども・若者育成」について申し上げます。
先頃公表された令和7年度全国学力・学習状況調査では、小学校、中学校の国語と理科が全国平均をやや下回り、小学校算数、中学校数学については、昨年度よりも全国との差が縮まったものの、依然として全国平均を下回る厳しい状況が続いております。
今回の結果を県全体で共有し、課題を明確にした上で、デジタルドリルの有効活用や指導主事の派遣拡充による授業の改善を図るなど、各市町村教育委員会と連携し、学力向上に取り組んでまいります。
一方、今年度実施した「こどもまんなかアンケート」では、「こどもの幸福度」について尋ねたところ、10段階評価での平均値が7.56となり、昨年度から0.12ポイント上昇いたしました。
さらに、「通っている学校や学校生活が好き」、「将来に明るい希望をもっている」といった項目についても、軒並み数値が改善しており、子どもたちが自分自身や家庭・学校・地域について、おおむね肯定的に捉えているものと受け止めております。引き続き、子どもたちの声を丁寧に聴き取りながら、「福島に生まれてよかった」、「福島で夢を叶えたい」と思ってもらえるよう、子ども・子育て施策を着実に進化させてまいります。
また、10月25日から2日間にわたり、郡山市と伊達市を会場として第35回全国産業教育フェア福島大会を開催いたします。農業や工業、商業などの専門学科等で学ぶ高校生が全国から集結し、日頃の活動や産業界との協働によって得られた学習成果を発信することで、産業教育の更なる活性化につなげてまいります。
次に、「インフラの整備等」について申し上げます。
8月1日に、双葉町の復興シンボル軸である県道井手長塚線・長塚跨線橋が開通したほか、同月7日には、いわき市の小名浜道路が開通いたしました。これにより、住民の帰還促進を始め、物流機能の強化や新たな企業の進出、交流人口の拡大など、本県の復興・再生を一層加速させるものと期待しております。
さらに、8月27日には、県道浪江三春線の小出谷工区におけるトンネル工事の着工式を執り行いました。当該トンネルが開通することで、浜通りと中通りを結ぶネットワークが強化され、物流や観光面での更なる連携・交流が図られることから、着実な整備に努めてまいります。
一方、7月30日にカムチャツカ半島付近で巨大地震が発生したことに伴い、本県沿岸部にも津波警報が発せられ、県内では一時、1,600人以上の方々が避難されました。今回のような遠地津波の事案を踏まえ、津波警報の対象となった市・町における対応状況や課題等を検証し、それらに基づいた防災体制の改善等を図ってまいります。
また、今後、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震や南海トラフ地震の発生なども危惧されることから、最大クラスの津波発生を想定した「津波災害警戒区域」を新たに指定したほか、総合防災イベントの開催等を通じた「マイ避難」の理解浸透や防災アプリの利用促進、地域防災計画に基づく総合防災訓練の実施などにより、自助・共助・公助が連携した災害対応力の強化を図ってまいります。
避難地域では、7月15日から浪江町の特定帰還居住区域における準備宿泊制度が開始され、同月29日には、葛尾村の一部に県内6例目となる特定帰還居住区域が設定されました。
また、双葉町が整備を進めてきた公設民営による商業施設が先月1日に開所し、住民の皆さんの利便性も大きく向上するなど、住民帰還や復興に向けた動きが力強さを増しております。引き続き、住民の皆さんが一日も早く古里に帰還できるよう、国や地元自治体と緊密に連携しながら、帰還や移住環境の整備等に取り組んでまいります。
一方、長い戦いとなる本県の復興は、依然として困難な課題が山積しております。このため、先月末に開催された福島復興再生協議会では、国に対し、新たな復興の基本方針の下、第3期復興・創生期間の初年度となる令和8年度予算の確保はもとより、中長期にわたり切れ目なく安心感を持って復興への挑戦を続けるために必要な財源と枠組み、復興を支える制度をしっかりと確保するよう求めたところであります。
こうした様々な機会を捉え、予算確保を訴えてきた結果、国の来年度予算概算要求においては、おおむね本県の要望を踏まえた内容が盛り込まれており、今後も国に対し、福島の現状を丁寧に訴えながら、本県の復興に最後まで責任を果たすよう強く求めてまいります。
次に、「環境回復」について申し上げます。
福島第一原発の廃炉につきましては、5号機に貯蔵されている使用済燃料の取り出しが7月23日から開始され、3号機の燃料デブリについても、本格的な取り出しに向けた準備作業の内容や工程等に関する検討結果が示されました。
燃料デブリの取り出しに当たっては、原子炉内部の正確な状況把握に加え、作業の安全確保や一時保管の在り方など多くの課題があることから、今後も国や東京電力に対し、様々な知見を取り入れながら、安全最優先で着実に進めるよう求めてまいります。
また、除去土壌等の県外最終処分につきましては、7月に首相官邸の前庭において除去土壌が初めて復興再生利用され、先月26日には、「福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた復興再生利用等の推進に関するロードマップ」が公表されました。
ロードマップでは、中央官庁等における復興再生利用事例の創出や新たな有識者会議の設置が示されたほか、おおむね2035年を目途に県外最終処分場の候補地選定等を行うことが明記されたものの、最終処分場の用地取得や建設、運搬など、候補地選定後におけるプロセスやスケジュールが明確に示されていないことから、引き続き、具体的な工程等を速やかに明示し、政府一丸となって最後まで責任を持って対応するよう求めてまいります。
一方、こうした原発事故からの環境回復に取り組む中、先般、本県の猪苗代湖が、国際的に重要な湿地としてラムサール条約湿地に登録されました。これにより、県民の皆さんの環境保全意識が一層高まるとともに、猪苗代湖の国際的な認知度向上に伴い、来訪者の増加や学校教育における活用など、様々な効果につながるものと期待しております。
また、これら湖沼や森林を始めとする水源地域について、近年、土地買収や開発行為が全国的に発生しており、本県においても水源涵養機能の低下や災害の発生などが懸念されております。
このため、届出制度と立入調査等制度を両輪とした「福島県水源地域保全条例案」を今定例会に提案し、水源地域の保全や土地の適正利用の更なる強化を図ってまいります。
次に、「風評・風化対策」について申し上げます。
7月19日に大阪・関西万博において県の単独出展を実施し、国内外から多くの方々に来場いただくことが出来ました。
私自身も会場に赴き、来場された皆さんに対し、これまでの御支援に対する感謝の思いをお伝えしたほか、エアレース・パイロット室屋義秀さんとのトークセッションや、県産の桃、日本酒の振る舞い等を通じて、復興が進む「福島の今」と、果敢に挑戦する姿を広く発信してまいりました。今後もあらゆる機会を捉えて、本県の現状や様々な魅力を発信し、福島を直接、「見て」「感じて」いただけるよう取り組んでまいります。
また、11月14日には、東京2025デフリンピックサッカー競技が本県のJヴィレッジにおいて開幕いたします。世界中から多くの方々が本県を訪れ、笑顔で応援していただけるよう、効果的な情報発信による機運醸成を図っていくとともに、本県主催のオープニングセレモニーを開催するなど、選手団や観客の皆さんを万全の体制でお迎えする準備を進めてまいります。
次に、「産業政策」について申し上げます。
令和5年に本県から出荷された医療用機械器具における部品等の出荷金額が、過去最高の442億円を記録し、14年連続で全国1位を達成しました。
こうした産業集積が着実に進む中、県内企業からは、医療機器の開発に携わる人材の育成・確保が強く求められており、県では今年度から、実業系の高校生を対象とした実践的な人材育成等に力を入れております。これらの取組を通じて、多くの若者が医療機器関連産業への理解を深め、自らの進路選択について考える契機となるよう努めてまいります。
また、4月1日から3か月間にわたって実施してきた「プレDC(ふくしまプレデスティネーションキャンペーン)」が終了し、市町村の関係者からは、250を超える特別企画などにより、「各地で賑わいが見られた」との声が寄せられております。
引き続き、来年のDC本番に向け、おもてなし力の向上や観光資源の磨き上げを目的としたセミナー等の開催を始め、大ゴッホ展と連動した観光誘客や「ふくしまアートツーリズム」の推進、登録者数が1万人を突破した「ふくしまDCローカルアンバサダー」による魅力発信など、更なる誘客促進を図ってまいります。
一方、米国による関税措置につきましては、現時点で直接的な影響が生じている県内企業は限定的であるものの、今後も県内経済への影響を注視していく必要があります。
このため、関税措置などの影響を受ける県内中小企業等へ専門家を派遣し、経営課題の解決や経営力の強化を支援するための経費を今定例会に計上するとともに、欧州・台湾をターゲットにしたプロモーション活動等により、県産品の新たな販路を開拓するなど、県内企業の事業活動を丁寧に支援してまいります。
次に、「農林水産業の再生」について申し上げます。
生産者が誇りと情熱を持って育んだ県産農林水産物の魅力を「ふくしまプライド。」の言葉に込めて発信してから10年の節目を迎える中、今年もトップセールスで県外の大消費地や県内スーパー等を訪問し、「ふくしまプライド。」がぎっしり詰まった生産者自慢の逸品をお届けしてまいりました。
今後も更なる販路拡大を進めることはもとより、県産農林水産物を活用した新たな商品の創出を図るため、食品事業者や農林漁業者、卸・小売事業者等と連携し、地域全体で食と経済の好循環を生み出す仕組みづくりに取り組んでまいります。
また、米の価格高騰が大きな社会問題となる中、先般、国が実施した令和7年産米の作付意向調査では、本県における主食用米の作付面積が大幅に増加しております。
このため、引き続き、関係団体と連携しながら、需要に応じた米の生産を図っていくとともに、県産米のブランド力向上や産地力の強化による生産支援、多様な担い手の確保、高温に強い品種開発等を進めてまいります。
林業につきましては、建築物における県産木材等の利用を促進するため、先月19日に福島県建築士会と協定を締結したほか、10月25日に開催する「福島県林業祭」が50回目の記念大会を迎えることから、林業の魅力を体験できる多彩なイベント等を実施し、幅広い世代の方々に林業への理解と興味喚起を図ってまいります。
水産業につきましても、昨年度の沿岸漁業における新規就業者数が、震災後最多を記録したことを踏まえ、小中学生を対象とした漁業体験イベントの開催や、漁業現場における新規就業者向けの技術研修を支援するなど、漁業復興を力強く後押ししてまいります。
次に、「県民の健康増進」について申し上げます。
先月、県内の小学生たちが県庁を訪れ、食事や運動、睡眠など、日頃の行動を見直し、頑張れば改善できそうなことを「健康に暮らすための約束」として、私の前で発表してくれました。
彼らが実践してくれたように、健康的な暮らしを送るためには、日々の生活習慣を見直すことが大切です。こうした意識が広く浸透するよう、イベントの開催等を通じて、健康的な生活習慣を楽しみながら学べる機会を提供していくほか、女性の健康づくりや働きやすい職場づくりに取り組む事業所への奨励金の交付、さらには、働く世代における「がん検診」の受診率を向上させるため、新たな補助事業を実施するなど、県民一丸となって健康長寿県の実現を目指してまいります。
また、人件費・物価の上昇などにより、本県のみならず、全国的に医療機関等の経営安定化や、医療・福祉・介護人材の確保が大きな課題となっています。このため、7月に開催された全国知事会議では、社会保障常任委員長として、国に対する提言を取りまとめ、先月20日、厚生労働省への要請活動を実施いたしました。引き続き、来年度予算において、報酬改定を始めとした必要な対応策が確実に講じられるよう、全国知事会と連携しながら国に求めてまいります。
次に、「子ども・若者育成」について申し上げます。
先頃公表された令和7年度全国学力・学習状況調査では、小学校、中学校の国語と理科が全国平均をやや下回り、小学校算数、中学校数学については、昨年度よりも全国との差が縮まったものの、依然として全国平均を下回る厳しい状況が続いております。
今回の結果を県全体で共有し、課題を明確にした上で、デジタルドリルの有効活用や指導主事の派遣拡充による授業の改善を図るなど、各市町村教育委員会と連携し、学力向上に取り組んでまいります。
一方、今年度実施した「こどもまんなかアンケート」では、「こどもの幸福度」について尋ねたところ、10段階評価での平均値が7.56となり、昨年度から0.12ポイント上昇いたしました。
さらに、「通っている学校や学校生活が好き」、「将来に明るい希望をもっている」といった項目についても、軒並み数値が改善しており、子どもたちが自分自身や家庭・学校・地域について、おおむね肯定的に捉えているものと受け止めております。引き続き、子どもたちの声を丁寧に聴き取りながら、「福島に生まれてよかった」、「福島で夢を叶えたい」と思ってもらえるよう、子ども・子育て施策を着実に進化させてまいります。
また、10月25日から2日間にわたり、郡山市と伊達市を会場として第35回全国産業教育フェア福島大会を開催いたします。農業や工業、商業などの専門学科等で学ぶ高校生が全国から集結し、日頃の活動や産業界との協働によって得られた学習成果を発信することで、産業教育の更なる活性化につなげてまいります。
次に、「インフラの整備等」について申し上げます。
8月1日に、双葉町の復興シンボル軸である県道井手長塚線・長塚跨線橋が開通したほか、同月7日には、いわき市の小名浜道路が開通いたしました。これにより、住民の帰還促進を始め、物流機能の強化や新たな企業の進出、交流人口の拡大など、本県の復興・再生を一層加速させるものと期待しております。
さらに、8月27日には、県道浪江三春線の小出谷工区におけるトンネル工事の着工式を執り行いました。当該トンネルが開通することで、浜通りと中通りを結ぶネットワークが強化され、物流や観光面での更なる連携・交流が図られることから、着実な整備に努めてまいります。
一方、7月30日にカムチャツカ半島付近で巨大地震が発生したことに伴い、本県沿岸部にも津波警報が発せられ、県内では一時、1,600人以上の方々が避難されました。今回のような遠地津波の事案を踏まえ、津波警報の対象となった市・町における対応状況や課題等を検証し、それらに基づいた防災体制の改善等を図ってまいります。
また、今後、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震や南海トラフ地震の発生なども危惧されることから、最大クラスの津波発生を想定した「津波災害警戒区域」を新たに指定したほか、総合防災イベントの開催等を通じた「マイ避難」の理解浸透や防災アプリの利用促進、地域防災計画に基づく総合防災訓練の実施などにより、自助・共助・公助が連携した災害対応力の強化を図ってまいります。
地方創生・人口減少対策について
次に、「地方創生・人口減少対策」について申し上げます。
先月に総務省が公表した人口動態調査によれば、県人口の減少幅が前年よりも拡大し、社会減については3年連続で全国最多となるなど、本県の人口減少は依然として厳しい状況にあります。
このため、600を超える県内企業・団体、市町村に参画いただき、産官学金労言士が連携する新たな基盤として、「ふくしま共創チーム」を設立いたしました。
先週10日には、県内の大学生を中心としたワーキングチームも始動したところであり、若者の視点をいかした実効性のある施策を検討するなど、「福島ならでは」の地方創生・人口減少対策にオール福島で取り組んでまいります。
また、来月4日には、本県出身で首都圏在住の若い世代を対象とした大規模な交流会を都内で開催するほか、SNSを始めとした各種広報媒体や就活サイトとのタイアップ等により、県内企業の魅力を効果的に発信するなど、若者の県内定着・還流を一層促進してまいります。
さらに、7月に新設した、官民連携による「ふくしまぐらし推進会議」を通じて、県内企業が県外の人材を活用したり、県外企業との交流を希望する際にマッチングを行っていくとともに、県内各地で活躍するキーパーソンと連携した首都圏セミナーや県内ツアーの実施などにより、関係人口の創出拡大と移住・定住の更なる推進を図ってまいります。
以上、県政に関する諸課題等について、所信の一端を申し上げました。
三春町出身の登山家、田部井淳子さんが、女性初のエベレスト登頂に成功されてから今年でちょうど50年となり、来月には田部井さんをモデルにした映画も公開されるなど、改めてその功績や生き方が大きな注目を集めています。
田部井さんは、「女性には無理」と決めつける偏見や差別と闘いながら、幾多の挑戦を続けてこられました。そんな田部井さんが、末期がんを抱えながらも、残りの人生の全てを賭けて挑まれたのが、東日本大震災で被災した高校生たちとの富士登山でした。
胸部に溜まった水を抜いて登山に臨むなど、体調に不安がある中でも、田部井さんは子どもたちと共に山へ登り、励ましながら、身を削る思いで歩みを進められました。
そこまで田部井さんを突き動かした理由とは何か。
それは、被災地の将来を担う子どもたちに、「どんなにつらくても、一歩ずつ前に進めば、必ず頂上にたどり着けることを実感して欲しい」という、切なる願いがあったからです。
私たち福島県民は、震災以降、原子力災害や度重なる自然災害などに見舞われ、つらく苦しい場面に何度も直面してきました。
そうした中にあっても、私たちはしっかりと前を見据えながら挑戦を続け、着実に成果を積み重ねてきました。復興の道のりは、まだまだ遠く、険しいですが、“挑戦”という名の“一歩”を踏み出し続けることで、必ずや世界に誇れる復興・創生に到達できると、私は確信しています。
「一歩、一歩、前へ」
田部井さんが遺したこの言葉を、改めて深く胸に刻み、私はこれからも、福島の復興と地方創生の実現に向け、一歩、また一歩と、全力で挑戦を続けてまいります。
先月に総務省が公表した人口動態調査によれば、県人口の減少幅が前年よりも拡大し、社会減については3年連続で全国最多となるなど、本県の人口減少は依然として厳しい状況にあります。
このため、600を超える県内企業・団体、市町村に参画いただき、産官学金労言士が連携する新たな基盤として、「ふくしま共創チーム」を設立いたしました。
先週10日には、県内の大学生を中心としたワーキングチームも始動したところであり、若者の視点をいかした実効性のある施策を検討するなど、「福島ならでは」の地方創生・人口減少対策にオール福島で取り組んでまいります。
また、来月4日には、本県出身で首都圏在住の若い世代を対象とした大規模な交流会を都内で開催するほか、SNSを始めとした各種広報媒体や就活サイトとのタイアップ等により、県内企業の魅力を効果的に発信するなど、若者の県内定着・還流を一層促進してまいります。
さらに、7月に新設した、官民連携による「ふくしまぐらし推進会議」を通じて、県内企業が県外の人材を活用したり、県外企業との交流を希望する際にマッチングを行っていくとともに、県内各地で活躍するキーパーソンと連携した首都圏セミナーや県内ツアーの実施などにより、関係人口の創出拡大と移住・定住の更なる推進を図ってまいります。
以上、県政に関する諸課題等について、所信の一端を申し上げました。
三春町出身の登山家、田部井淳子さんが、女性初のエベレスト登頂に成功されてから今年でちょうど50年となり、来月には田部井さんをモデルにした映画も公開されるなど、改めてその功績や生き方が大きな注目を集めています。
田部井さんは、「女性には無理」と決めつける偏見や差別と闘いながら、幾多の挑戦を続けてこられました。そんな田部井さんが、末期がんを抱えながらも、残りの人生の全てを賭けて挑まれたのが、東日本大震災で被災した高校生たちとの富士登山でした。
胸部に溜まった水を抜いて登山に臨むなど、体調に不安がある中でも、田部井さんは子どもたちと共に山へ登り、励ましながら、身を削る思いで歩みを進められました。
そこまで田部井さんを突き動かした理由とは何か。
それは、被災地の将来を担う子どもたちに、「どんなにつらくても、一歩ずつ前に進めば、必ず頂上にたどり着けることを実感して欲しい」という、切なる願いがあったからです。
私たち福島県民は、震災以降、原子力災害や度重なる自然災害などに見舞われ、つらく苦しい場面に何度も直面してきました。
そうした中にあっても、私たちはしっかりと前を見据えながら挑戦を続け、着実に成果を積み重ねてきました。復興の道のりは、まだまだ遠く、険しいですが、“挑戦”という名の“一歩”を踏み出し続けることで、必ずや世界に誇れる復興・創生に到達できると、私は確信しています。
「一歩、一歩、前へ」
田部井さんが遺したこの言葉を、改めて深く胸に刻み、私はこれからも、福島の復興と地方創生の実現に向け、一歩、また一歩と、全力で挑戦を続けてまいります。
令和6年度決算について
次に、令和6年度の決算について申し上げます。
令和6年度予算につきましては、これまで続けてきた挑戦を更に「シンカ」させ、複合災害からの復興と「福島ならでは」の地方創生を一層加速させていくための当初予算に加え、2月に発生した大雪など自然災害への緊急対応、さらには原油価格・物価高騰への対応など、喫緊の課題に対応するため、11度にわたる補正予算を計上し、年度間を通して適切な執行に努めてまいりました。
これにより、一般会計の実質収支は78億2千万円となったところであります。
令和6年度予算につきましては、これまで続けてきた挑戦を更に「シンカ」させ、複合災害からの復興と「福島ならでは」の地方創生を一層加速させていくための当初予算に加え、2月に発生した大雪など自然災害への緊急対応、さらには原油価格・物価高騰への対応など、喫緊の課題に対応するため、11度にわたる補正予算を計上し、年度間を通して適切な執行に努めてまいりました。
これにより、一般会計の実質収支は78億2千万円となったところであります。
提出議案について
次に、提出議案について御説明を申し上げます。
令和7年度一般会計補正予算案につきましては、地域経済の活性化に向けた取組として、米国の関税措置や物価高騰の影響を受ける中小企業等の経営力強化への支援、原料米高騰の影響を受ける清酒製造事業者への支援、ふくしまDCに向けた観光誘客の更なる推進、自然災害への対応として、大雪で被災した地域における営農継続と産地維持に取り組む農業者団体への支援、吾妻山の火山シェルター設置に向けた取組などであり、これらに要する経費を計上いたしました。
これによる一般会計補正予算の総額は、42億8千4百万円となり、本年度予算の累計は、1兆2,931億3千4百万円となります。
特別会計等補正予算案につきましては、福島県港湾整備事業特別会計について、所要の経費を計上いたしました。
その他の議案といたしましては、条例が「福島県旅費条例の一部を改正する条例」など9件、条例以外の議案が「県の行う建設事業等に対する市町村の負担の一部変更について」など28件で、いずれも県政執行上重要な案件であります。
慎重に御審議の上、速やかな御議決をお願い申し上げます。
令和7年度一般会計補正予算案につきましては、地域経済の活性化に向けた取組として、米国の関税措置や物価高騰の影響を受ける中小企業等の経営力強化への支援、原料米高騰の影響を受ける清酒製造事業者への支援、ふくしまDCに向けた観光誘客の更なる推進、自然災害への対応として、大雪で被災した地域における営農継続と産地維持に取り組む農業者団体への支援、吾妻山の火山シェルター設置に向けた取組などであり、これらに要する経費を計上いたしました。
これによる一般会計補正予算の総額は、42億8千4百万円となり、本年度予算の累計は、1兆2,931億3千4百万円となります。
特別会計等補正予算案につきましては、福島県港湾整備事業特別会計について、所要の経費を計上いたしました。
その他の議案といたしましては、条例が「福島県旅費条例の一部を改正する条例」など9件、条例以外の議案が「県の行う建設事業等に対する市町村の負担の一部変更について」など28件で、いずれも県政執行上重要な案件であります。
慎重に御審議の上、速やかな御議決をお願い申し上げます。