県議会定例会(令和7年6月)
印刷用ページを表示する 掲載日:2025年6月17日更新
令和7年6月福島県議会定例会知事説明要旨(令和7年6月17日)
6月県議会定例会が開催されるに当たり、当面する重要な議案を提出いたしました。
以下、そのあらましについて御説明いたしますが、それに先立ち、県政に関する当面の諸課題について所信の一端を述べさせていただきます。
以下、そのあらましについて御説明いたしますが、それに先立ち、県政に関する当面の諸課題について所信の一端を述べさせていただきます。
東日本大震災からの復旧・復興について
はじめに、「避難地域の復興・再生」についてであります。
この春、避難地域では、飯舘村の長泥地区及び葛尾村の野行地区の一部について、土地活用スキームによる避難指示解除がなされたほか、大熊町では、双葉署大熊駐在所が14年ぶりに業務を再開するなど、復興に向けた新たな一歩を刻んだところであります。
さらに、福島国際研究教育機構(F-REI)につきましても、4月1日付で福島ロボットテストフィールドが統合されるとともに、同月26日には起工式が執り行われ、施設整備が本格的に始動いたしました。引き続き、F-REIと地域との結びつきを支援するなど、連携の強化を図ってまいります。
また、福島イノベーション・コースト構想につきましては、今月6日に、本構想を基軸とする「産業発展の青写真」を改定いたしました。産業集積の具体化や暮らしを支えるイノベーションの創出などにより、地域の方々が本構想をもっと身近に感じ、描かれた未来を現実のものとできるよう、国や市町村、関係機関等と力を合わせ、取り組んでまいります。
一方、こうした取組を着実に進めるためには、中長期にわたる十分な財源と枠組み、復興を支える制度の確保が必要であることから、4月23日に石破総理への要望活動を実施し、今月6日には官房長官、復興大臣を始めとする関係閣僚等や政党への提案・要望活動を実施いたしました。
その結果、先週開催された復興推進委員会において、新たな復興の基本方針の案が示され、今の5か年以上に力強く復興施策を推進していくことが明記されるとともに、事業規模と財源につきましても、本県分として、現在の5か年を大きく上回る1.6兆円程度を確保するとされたところであります。引き続き、福島の実情を丁寧に訴え、国が前面に立ち、本県の復興・再生に最後まで責任を持って取り組むよう強く求めてまいります。
次に、「環境回復」について申し上げます。
福島第一原発の廃炉につきましては、6号機に貯蔵していた使用済燃料の取り出し作業が4月16日に完了したほか、同月23日には、2号機において2回目となる燃料デブリの試験的取り出し作業が完了いたしました。
今後、こうした廃炉作業が本格化することを見据え、県においても危機管理部内の廃炉監視体制を強化したところであり、引き続き、廃炉安全監視協議会や現地駐在職員による確認等を通じて、国及び東京電力の取組をしっかりと監視してまいります。
また、先月27日には、国において「福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた再生利用等の推進に関する基本方針」が決定され、この問題の解決に政府一丸となって取り組むことが示されました。当該基本方針の下、県外最終処分の確実な実施に向けて、国民の皆さんの理解が深まることを期待するとともに、取組を更に加速させるよう国に求めてまいります。
次に、「風評・風化対策」について申し上げます。
大阪・関西万博が開幕し、先月には、復興庁と経済産業省のブースにおいて被災三県の復興状況等が紹介されたほか、今月13日から3日間にわたり、東北6県の連携による観光、物産、伝統芸能等を紹介するブースを出展したところであります。
来月19日には、福島県単独で出展し、これまでの復興の歩みやホープツーリズム等を紹介するとともに、旬を迎える福島の桃を始め、県産品や観光の魅力などを国内外に広く発信してまいります。
また、先月の22日から27日にかけて、豪州のキャンベラとシドニーを訪問し、これまでの御支援に対する感謝の思いと「福島の今」を、現地の方々に直接お伝えしてまいりました。
キャンベラでは、福島の復興状況や観光・食の魅力などを紹介する「ふくしまレセプション」を開催し、シドニーでは、豪州最大のスノー旅行博である「スノートラベルエキスポ」への出展を通じて、スノーリゾートの地“福島”の知名度向上とインバウンドの誘客促進を図りました。
さらに、本県と豪州の更なる交流発展に向け、オーストラリア旅行業協会とMOU(基本合意書)を締結し、相互の誘客・送客を促進するためのプロモーション活動等を行っていくことといたしました。昨年度の福島空港利用者数も国際線利用者数が大きく伸びており、コロナ禍前の水準に戻りつつあることから、SNS等の活用による積極的な情報発信を始め、大阪・関西万博を契機とした福島空港の利用拡大を図るなど、より多くの方々に、復興が進む福島の姿と様々な魅力を実感していただけるよう取り組んでまいります。
次に、「産業政策」について申し上げます。
4月から「ふくしまプレデスティネーションキャンペーン」がスタートし、280を超える特別企画などにより、県内は多くの観光客で賑わいを見せております。今後も発酵ツーリズムをテーマとした特別列車の運行やデジタルスタンプラリーの実施など、関係者一丸となって誘客の促進に取り組んでまいります。
こうした中、先月開催された全国新酒鑑評会では、16銘柄が金賞に輝き、3年ぶり12回目となる金賞受賞数日本一を達成いたしました。この快挙を追い風として、更なる県産日本酒のファン拡大や輸出促進等に力を入れてまいります。先月の豪州訪問においても、現地で「ふくしまの酒試飲商談会」を開催し、輸入事業者や流通事業者へのトップセールスを行ってまいりました。「是非、取扱いを検討したい」といった感想を頂くなど、今後の輸出拡大に向けて確かな手応えを感じたところであります。引き続き、県オリジナル酒米の開発や醸造技術の支援、各種イベントの開催等を通じて、県産日本酒の魅力を国内外に発信してまいります。
また、新産業の創出・集積につきましては、先月19日に「燃料電池商用車の導入促進に関する重点地域」として本県が選定されたことから、モビリティ分野における水素の更なる利用拡大を図り、水素社会の実現につながるよう、国や関係機関等と連携して取り組んでまいります。
一方、長引く物価高などの影響に加え、今般、米国が打ち出した関税措置により、県内企業の約4割が今後の業績への影響を「マイナス」と回答するなど、先行きを懸念する声が高まっております。
このため、今定例会において、国の電気・ガス料金支援と連動した取組や、県独自の制度資金創設による資金繰り支援、県産品の輸出拡大に向けた取組の強化、各地方振興局に特別相談窓口を設置する経費などを計上したところであり、今後も社会・経済情勢を注視しながら適時適切に対応してまいります。
次に、農林水産業の再生について申し上げます。
大手オンラインストアを活用した、県産農林水産物等の販路拡大を図る取組において、昨年度の売上額が47億4千万円を超え、過去最高を更新いたしました。県産食材に対する需要と信頼は着実に高まっており、引き続き、出店者の販売力強化を支援していくほか、大阪・関西万博等の機会を捉え、顧客の拡大を図るなど、更なる販売促進に努めてまいります。
また、昨年度における県産農産物の輸出量につきましても、私自身が直接現地に赴いてトップセールスを行ったアメリカを始め、カナダや香港などへの輸出が大きく増加し、過去最高となる約898トンを記録いたしました。先月、豪州を訪問した際も、現地飲食店の方から豪州初となる福島牛フェアを実施していただけるとのお話を頂いたところであり、今後も国内外における需給状況や社会情勢等を十分に踏まえながら、高い品質を誇る県産農産物の魅力を、より多くの方々に知っていただけるよう取り組んでまいります。
一方、2月に発生した記録的な大雪被害により、会津地方及び県中地方の18市町村において甚大な被害が発生し、被害総額は約3億500万円に及んでおります。
このため、2月補正予算で措置した、令和6年度大雪農業災害特別対策事業により、施設の撤去や復旧、再生産に必要な種苗の購入等を支援していくとともに、果樹の樹体被害については、国の災害特例措置の活用を促すなど、被災された農家の皆さんが営農意欲を失うことのないよう、技術指導等も丁寧に行いながら復旧支援に努めてまいります。
次に、「カーボンニュートラルの推進」について申し上げます。
本県における2022年度の温室効果ガス実排出量は、基準年度である2013年度と比べて21.3%減少しております。
今後も更なる排出量の削減を図っていくため、県内の金融機関や経済団体、関係団体の皆さんと共に「福島県地域脱炭素推進コンソーシアム」を設立し、先月から脱炭素化を進めるモデル企業の公募を開始いたしました。
さらには、新たに立ち上げた「ふくしまJ-クレジットクラブ」が主体となって、省エネや再エネにより生み出される環境価値をクレジット化する取組を推進するなど、オール福島で脱炭素社会の実現に向けた様々な挑戦を続けてまいります。
また、令和5年度の一般廃棄物処理実態調査によれば、本県における一人一日当たりのごみ排出量は968gとなり、東日本大震災前を下回る水準まで改善してきたものの、いまだ全国ワースト2位、リサイクル率も全国ワースト6位となっております。
このため、ごみ削減に向けて主体的に取り組む市町村への補助制度や、廃コピー用紙のリサイクル処理を進める県内企業等への助成制度を創設するなど、ごみの減量化とリサイクルの推進を図ってまいります。
次に、「県民の健康増進」について申し上げます。
先般、県民の皆さんの特定健診データを分析した結果が公表され、血圧や運動習慣など、メタボリック症候群のリスクを示す23項目のうち、男性では13項目、女性では14項目において前回調査よりも悪化が見られ、特に女性では「喫煙あり」の項目が初めて悪化したことが分かりました。
こうした状況を踏まえ、無理なく楽しく健康づくりに取り組むことができるよう、市町村や事業所等と連携し、おいしく自然に減塩できる食環境の整備を進めていくとともに、福島ならではの魅力を歩いて巡る「ふくしまアートウォーキング」の推進、妊産婦とその家族を対象とした禁煙プログラムの提供など、更なる取組の強化を図ってまいります。
また、県民の皆さんの命と健康を守る体制整備につきましては、今月11日に、県立医科大学附属病院の新病棟整備に係る基本・実施設計業務に着手したほか、次の感染症危機への備えを万全なものとするため、「福島県新型インフルエンザ等対策行動計画」を改定し、感染拡大の防止と社会経済活動のバランスを踏まえた対策を講じていくことといたしました。引き続き、市町村や医療機関、関係団体等と連携しながら、行動計画に基づく取組を着実に進めてまいります。
次に、「子ども・若者育成」について申し上げます。
この春、中通り初の県立中学校として「県立安積中学校」が開校し、安達地区においても、初の特別支援学校となる「あだち支援学校」が開校したほか、県立高等学校の統合により、「いわき総合高等学校」が新たなスタートを切るなど、それぞれの学校で新入生を迎えることができました。各学校の特色をいかした教育活動を展開し、子どもたち一人一人が主役となる教育を実現できるよう取り組んでまいります。
一方、こうした子どもたちを取り巻く環境は大きく変化しており、「こどもまんなか社会」の実現に向けた実効性のある施策を着実に推進していくため、先般、「福島県こどもまんなかプラン」を策定いたしました。こどもの権利保障や居場所づくりなど、近年顕在化している課題への対策を盛り込むとともに、毎年度、「こどもまんなかアンケート」を実施し、その推移を分析しながら施策に反映させるなど、子どもたちが幸福を実感でき、将来の夢や希望がかなう環境づくりを進めてまいります。
また、4月1日には、乳幼児期における社会的養護の要として、郡山市に県立乳児院を開所いたしました。医療的なケアを必要とする子どもの受け入れを始め、家庭生活に困難を抱える妊産婦を支援するなど、本県における社会的な養育環境を一層向上させ、子どもたちの幸福な未来へとつなげてまいります。
次に、「インフラの整備等」について申し上げます。
ふくしま復興再生道路の一つとして整備を進めてきた小名浜道路が、8月7日に開通いたします。これにより、物流の円滑化や企業誘致、広域的な観光振興、大規模災害時における円滑な緊急輸送など、様々な波及効果をもたらすものと期待しております。
また、国営追悼・祈念施設と一体的に整備を進めてきた復興祈念公園につきましても、来年春頃に全面供用開始できる見通しとなりました。震災の記憶と教訓を後世に伝えるとともに、多くの人々の心の拠りどころとなるよう、国や地元市町村等と連携しながら整備を進めてまいります。
一方、只見町の国道252号においては、新潟県境近くに架かる出逢(であい)橋(はし)が雪崩で流失し、現在、通行止めとしております。当該道路は、本県と新潟県を結ぶ重要な路線であることから、早期の交通開放に向け、旧道に仮設の橋りょうを設置することといたしました。速やかに工事を進めることはもとより、今冬の大雪災害における対応の検証等も併せて進め、今後の除雪体制の強化につなげてまいります。
この春、避難地域では、飯舘村の長泥地区及び葛尾村の野行地区の一部について、土地活用スキームによる避難指示解除がなされたほか、大熊町では、双葉署大熊駐在所が14年ぶりに業務を再開するなど、復興に向けた新たな一歩を刻んだところであります。
さらに、福島国際研究教育機構(F-REI)につきましても、4月1日付で福島ロボットテストフィールドが統合されるとともに、同月26日には起工式が執り行われ、施設整備が本格的に始動いたしました。引き続き、F-REIと地域との結びつきを支援するなど、連携の強化を図ってまいります。
また、福島イノベーション・コースト構想につきましては、今月6日に、本構想を基軸とする「産業発展の青写真」を改定いたしました。産業集積の具体化や暮らしを支えるイノベーションの創出などにより、地域の方々が本構想をもっと身近に感じ、描かれた未来を現実のものとできるよう、国や市町村、関係機関等と力を合わせ、取り組んでまいります。
一方、こうした取組を着実に進めるためには、中長期にわたる十分な財源と枠組み、復興を支える制度の確保が必要であることから、4月23日に石破総理への要望活動を実施し、今月6日には官房長官、復興大臣を始めとする関係閣僚等や政党への提案・要望活動を実施いたしました。
その結果、先週開催された復興推進委員会において、新たな復興の基本方針の案が示され、今の5か年以上に力強く復興施策を推進していくことが明記されるとともに、事業規模と財源につきましても、本県分として、現在の5か年を大きく上回る1.6兆円程度を確保するとされたところであります。引き続き、福島の実情を丁寧に訴え、国が前面に立ち、本県の復興・再生に最後まで責任を持って取り組むよう強く求めてまいります。
次に、「環境回復」について申し上げます。
福島第一原発の廃炉につきましては、6号機に貯蔵していた使用済燃料の取り出し作業が4月16日に完了したほか、同月23日には、2号機において2回目となる燃料デブリの試験的取り出し作業が完了いたしました。
今後、こうした廃炉作業が本格化することを見据え、県においても危機管理部内の廃炉監視体制を強化したところであり、引き続き、廃炉安全監視協議会や現地駐在職員による確認等を通じて、国及び東京電力の取組をしっかりと監視してまいります。
また、先月27日には、国において「福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた再生利用等の推進に関する基本方針」が決定され、この問題の解決に政府一丸となって取り組むことが示されました。当該基本方針の下、県外最終処分の確実な実施に向けて、国民の皆さんの理解が深まることを期待するとともに、取組を更に加速させるよう国に求めてまいります。
次に、「風評・風化対策」について申し上げます。
大阪・関西万博が開幕し、先月には、復興庁と経済産業省のブースにおいて被災三県の復興状況等が紹介されたほか、今月13日から3日間にわたり、東北6県の連携による観光、物産、伝統芸能等を紹介するブースを出展したところであります。
来月19日には、福島県単独で出展し、これまでの復興の歩みやホープツーリズム等を紹介するとともに、旬を迎える福島の桃を始め、県産品や観光の魅力などを国内外に広く発信してまいります。
また、先月の22日から27日にかけて、豪州のキャンベラとシドニーを訪問し、これまでの御支援に対する感謝の思いと「福島の今」を、現地の方々に直接お伝えしてまいりました。
キャンベラでは、福島の復興状況や観光・食の魅力などを紹介する「ふくしまレセプション」を開催し、シドニーでは、豪州最大のスノー旅行博である「スノートラベルエキスポ」への出展を通じて、スノーリゾートの地“福島”の知名度向上とインバウンドの誘客促進を図りました。
さらに、本県と豪州の更なる交流発展に向け、オーストラリア旅行業協会とMOU(基本合意書)を締結し、相互の誘客・送客を促進するためのプロモーション活動等を行っていくことといたしました。昨年度の福島空港利用者数も国際線利用者数が大きく伸びており、コロナ禍前の水準に戻りつつあることから、SNS等の活用による積極的な情報発信を始め、大阪・関西万博を契機とした福島空港の利用拡大を図るなど、より多くの方々に、復興が進む福島の姿と様々な魅力を実感していただけるよう取り組んでまいります。
次に、「産業政策」について申し上げます。
4月から「ふくしまプレデスティネーションキャンペーン」がスタートし、280を超える特別企画などにより、県内は多くの観光客で賑わいを見せております。今後も発酵ツーリズムをテーマとした特別列車の運行やデジタルスタンプラリーの実施など、関係者一丸となって誘客の促進に取り組んでまいります。
こうした中、先月開催された全国新酒鑑評会では、16銘柄が金賞に輝き、3年ぶり12回目となる金賞受賞数日本一を達成いたしました。この快挙を追い風として、更なる県産日本酒のファン拡大や輸出促進等に力を入れてまいります。先月の豪州訪問においても、現地で「ふくしまの酒試飲商談会」を開催し、輸入事業者や流通事業者へのトップセールスを行ってまいりました。「是非、取扱いを検討したい」といった感想を頂くなど、今後の輸出拡大に向けて確かな手応えを感じたところであります。引き続き、県オリジナル酒米の開発や醸造技術の支援、各種イベントの開催等を通じて、県産日本酒の魅力を国内外に発信してまいります。
また、新産業の創出・集積につきましては、先月19日に「燃料電池商用車の導入促進に関する重点地域」として本県が選定されたことから、モビリティ分野における水素の更なる利用拡大を図り、水素社会の実現につながるよう、国や関係機関等と連携して取り組んでまいります。
一方、長引く物価高などの影響に加え、今般、米国が打ち出した関税措置により、県内企業の約4割が今後の業績への影響を「マイナス」と回答するなど、先行きを懸念する声が高まっております。
このため、今定例会において、国の電気・ガス料金支援と連動した取組や、県独自の制度資金創設による資金繰り支援、県産品の輸出拡大に向けた取組の強化、各地方振興局に特別相談窓口を設置する経費などを計上したところであり、今後も社会・経済情勢を注視しながら適時適切に対応してまいります。
次に、農林水産業の再生について申し上げます。
大手オンラインストアを活用した、県産農林水産物等の販路拡大を図る取組において、昨年度の売上額が47億4千万円を超え、過去最高を更新いたしました。県産食材に対する需要と信頼は着実に高まっており、引き続き、出店者の販売力強化を支援していくほか、大阪・関西万博等の機会を捉え、顧客の拡大を図るなど、更なる販売促進に努めてまいります。
また、昨年度における県産農産物の輸出量につきましても、私自身が直接現地に赴いてトップセールスを行ったアメリカを始め、カナダや香港などへの輸出が大きく増加し、過去最高となる約898トンを記録いたしました。先月、豪州を訪問した際も、現地飲食店の方から豪州初となる福島牛フェアを実施していただけるとのお話を頂いたところであり、今後も国内外における需給状況や社会情勢等を十分に踏まえながら、高い品質を誇る県産農産物の魅力を、より多くの方々に知っていただけるよう取り組んでまいります。
一方、2月に発生した記録的な大雪被害により、会津地方及び県中地方の18市町村において甚大な被害が発生し、被害総額は約3億500万円に及んでおります。
このため、2月補正予算で措置した、令和6年度大雪農業災害特別対策事業により、施設の撤去や復旧、再生産に必要な種苗の購入等を支援していくとともに、果樹の樹体被害については、国の災害特例措置の活用を促すなど、被災された農家の皆さんが営農意欲を失うことのないよう、技術指導等も丁寧に行いながら復旧支援に努めてまいります。
次に、「カーボンニュートラルの推進」について申し上げます。
本県における2022年度の温室効果ガス実排出量は、基準年度である2013年度と比べて21.3%減少しております。
今後も更なる排出量の削減を図っていくため、県内の金融機関や経済団体、関係団体の皆さんと共に「福島県地域脱炭素推進コンソーシアム」を設立し、先月から脱炭素化を進めるモデル企業の公募を開始いたしました。
さらには、新たに立ち上げた「ふくしまJ-クレジットクラブ」が主体となって、省エネや再エネにより生み出される環境価値をクレジット化する取組を推進するなど、オール福島で脱炭素社会の実現に向けた様々な挑戦を続けてまいります。
また、令和5年度の一般廃棄物処理実態調査によれば、本県における一人一日当たりのごみ排出量は968gとなり、東日本大震災前を下回る水準まで改善してきたものの、いまだ全国ワースト2位、リサイクル率も全国ワースト6位となっております。
このため、ごみ削減に向けて主体的に取り組む市町村への補助制度や、廃コピー用紙のリサイクル処理を進める県内企業等への助成制度を創設するなど、ごみの減量化とリサイクルの推進を図ってまいります。
次に、「県民の健康増進」について申し上げます。
先般、県民の皆さんの特定健診データを分析した結果が公表され、血圧や運動習慣など、メタボリック症候群のリスクを示す23項目のうち、男性では13項目、女性では14項目において前回調査よりも悪化が見られ、特に女性では「喫煙あり」の項目が初めて悪化したことが分かりました。
こうした状況を踏まえ、無理なく楽しく健康づくりに取り組むことができるよう、市町村や事業所等と連携し、おいしく自然に減塩できる食環境の整備を進めていくとともに、福島ならではの魅力を歩いて巡る「ふくしまアートウォーキング」の推進、妊産婦とその家族を対象とした禁煙プログラムの提供など、更なる取組の強化を図ってまいります。
また、県民の皆さんの命と健康を守る体制整備につきましては、今月11日に、県立医科大学附属病院の新病棟整備に係る基本・実施設計業務に着手したほか、次の感染症危機への備えを万全なものとするため、「福島県新型インフルエンザ等対策行動計画」を改定し、感染拡大の防止と社会経済活動のバランスを踏まえた対策を講じていくことといたしました。引き続き、市町村や医療機関、関係団体等と連携しながら、行動計画に基づく取組を着実に進めてまいります。
次に、「子ども・若者育成」について申し上げます。
この春、中通り初の県立中学校として「県立安積中学校」が開校し、安達地区においても、初の特別支援学校となる「あだち支援学校」が開校したほか、県立高等学校の統合により、「いわき総合高等学校」が新たなスタートを切るなど、それぞれの学校で新入生を迎えることができました。各学校の特色をいかした教育活動を展開し、子どもたち一人一人が主役となる教育を実現できるよう取り組んでまいります。
一方、こうした子どもたちを取り巻く環境は大きく変化しており、「こどもまんなか社会」の実現に向けた実効性のある施策を着実に推進していくため、先般、「福島県こどもまんなかプラン」を策定いたしました。こどもの権利保障や居場所づくりなど、近年顕在化している課題への対策を盛り込むとともに、毎年度、「こどもまんなかアンケート」を実施し、その推移を分析しながら施策に反映させるなど、子どもたちが幸福を実感でき、将来の夢や希望がかなう環境づくりを進めてまいります。
また、4月1日には、乳幼児期における社会的養護の要として、郡山市に県立乳児院を開所いたしました。医療的なケアを必要とする子どもの受け入れを始め、家庭生活に困難を抱える妊産婦を支援するなど、本県における社会的な養育環境を一層向上させ、子どもたちの幸福な未来へとつなげてまいります。
次に、「インフラの整備等」について申し上げます。
ふくしま復興再生道路の一つとして整備を進めてきた小名浜道路が、8月7日に開通いたします。これにより、物流の円滑化や企業誘致、広域的な観光振興、大規模災害時における円滑な緊急輸送など、様々な波及効果をもたらすものと期待しております。
また、国営追悼・祈念施設と一体的に整備を進めてきた復興祈念公園につきましても、来年春頃に全面供用開始できる見通しとなりました。震災の記憶と教訓を後世に伝えるとともに、多くの人々の心の拠りどころとなるよう、国や地元市町村等と連携しながら整備を進めてまいります。
一方、只見町の国道252号においては、新潟県境近くに架かる出逢(であい)橋(はし)が雪崩で流失し、現在、通行止めとしております。当該道路は、本県と新潟県を結ぶ重要な路線であることから、早期の交通開放に向け、旧道に仮設の橋りょうを設置することといたしました。速やかに工事を進めることはもとより、今冬の大雪災害における対応の検証等も併せて進め、今後の除雪体制の強化につなげてまいります。
地方創生・人口減少対策について
次に、「地方創生・人口減少対策」について申し上げます。
今月4日に令和6年人口動態統計の概数が公表され、本県の出生数は初めて9千人を割り、8,216人となったほか、婚姻件数も5,494組と過去最少を更新いたしました。改めて、本県における人口減少は極めて厳しい状況にあると受け止めております。
こうした現状に歯止めをかけるため、本年度から新たな「ふくしま創生総合戦略」をスタートさせました。戦略の基本理念として、「連携・共創による『福島ならでは』の県づくり」を掲げ、各地域の多様性をいかした取組を進めるべく、従来の対策本部に各地方振興局長を加え、新たに「ふくしま創生・人口戦略本部」として再編したところであります。
また、市町村や企業、関係団体と連携して対策に取り組むため、7月には、「ふくしま創生・人口戦略官民連携・共創チーム」を立ち上げ、「ひと・暮らし」「しごと」「人の流れ」をテーマに、県内大学生等が中心となったワーキングチームを設置いたします。各地域において、企業訪問等のフィールドワークを展開し、地域課題の把握や若者の視点を取り入れた具体策の検討などを進めてまいります。
引き続き、地域や市町村と一層緊密に連携し、若者や女性の視点を特に重視しながら、結婚・出産・子育て支援を始めとする「自然減対策」と、若者の定住・還流促進などの「社会減対策」の両面から、オール福島で人口減少対策に取り組んでまいります。
今月7日、世界遺産「白神山地」を走るJR五能線の人気観光列車「リゾートしらかみ橅」が、JR只見線に初めて乗り入れました。
この夢のような企画が実現した背景には、只見線沿線地域の小中学生らで結成した「只見線こども会議」の活躍があります。
日本一の地方創生路線を実現するため、「海の五能線」に並ぶ「山の只見線」を目指していることを知った彼らは、「只見にも白神山地に負けないくらいすばらしい橅林がある。リゾートしらかみ橅が走れば、ここにも大勢の観光客が来てくれるのではないか」と考え、企画実現に向けた署名活動に奔走し、只見町の人口に匹敵する3,705筆もの署名を集めてくれました。
今回の乗り入れのきっかけとなった「橅」は、「木(きへん)」に「無(なし)」と表現されているように、かつては「役に立たない木」と言われてきましたが、実は天然のダムとして豊かな森を育み、人間にも様々な恩恵をもたらしていることが分かり、その価値が大きく見直されてきました。これは正に、地域固有の資源や文化を新たな視点から捉え、生かしていく、地方創生の考え方そのものであります。
そんな橅の花言葉は「勇気」。大好きなふるさとと只見線を守るため、地域の宝を生かそうと、小さな体に大きな夢と勇気を持って挑戦してくれた子どもたち。その姿は、ふるさとの森をしっかりと支える橅の姿と重なり、私たち県民にも大きな感動と勇気を与えてくれました。
福島の復興と地方創生は、現役世代の力だけで実現できるものではありません。こうした本県の将来を担う子どもたち、若者たちの夢や挑戦を大切に育みながら、誰もが豊かさや幸せを実感できる未来を創り上げるため、私はこれからも全力で挑戦を続けてまいります。
今月4日に令和6年人口動態統計の概数が公表され、本県の出生数は初めて9千人を割り、8,216人となったほか、婚姻件数も5,494組と過去最少を更新いたしました。改めて、本県における人口減少は極めて厳しい状況にあると受け止めております。
こうした現状に歯止めをかけるため、本年度から新たな「ふくしま創生総合戦略」をスタートさせました。戦略の基本理念として、「連携・共創による『福島ならでは』の県づくり」を掲げ、各地域の多様性をいかした取組を進めるべく、従来の対策本部に各地方振興局長を加え、新たに「ふくしま創生・人口戦略本部」として再編したところであります。
また、市町村や企業、関係団体と連携して対策に取り組むため、7月には、「ふくしま創生・人口戦略官民連携・共創チーム」を立ち上げ、「ひと・暮らし」「しごと」「人の流れ」をテーマに、県内大学生等が中心となったワーキングチームを設置いたします。各地域において、企業訪問等のフィールドワークを展開し、地域課題の把握や若者の視点を取り入れた具体策の検討などを進めてまいります。
引き続き、地域や市町村と一層緊密に連携し、若者や女性の視点を特に重視しながら、結婚・出産・子育て支援を始めとする「自然減対策」と、若者の定住・還流促進などの「社会減対策」の両面から、オール福島で人口減少対策に取り組んでまいります。
今月7日、世界遺産「白神山地」を走るJR五能線の人気観光列車「リゾートしらかみ橅」が、JR只見線に初めて乗り入れました。
この夢のような企画が実現した背景には、只見線沿線地域の小中学生らで結成した「只見線こども会議」の活躍があります。
日本一の地方創生路線を実現するため、「海の五能線」に並ぶ「山の只見線」を目指していることを知った彼らは、「只見にも白神山地に負けないくらいすばらしい橅林がある。リゾートしらかみ橅が走れば、ここにも大勢の観光客が来てくれるのではないか」と考え、企画実現に向けた署名活動に奔走し、只見町の人口に匹敵する3,705筆もの署名を集めてくれました。
今回の乗り入れのきっかけとなった「橅」は、「木(きへん)」に「無(なし)」と表現されているように、かつては「役に立たない木」と言われてきましたが、実は天然のダムとして豊かな森を育み、人間にも様々な恩恵をもたらしていることが分かり、その価値が大きく見直されてきました。これは正に、地域固有の資源や文化を新たな視点から捉え、生かしていく、地方創生の考え方そのものであります。
そんな橅の花言葉は「勇気」。大好きなふるさとと只見線を守るため、地域の宝を生かそうと、小さな体に大きな夢と勇気を持って挑戦してくれた子どもたち。その姿は、ふるさとの森をしっかりと支える橅の姿と重なり、私たち県民にも大きな感動と勇気を与えてくれました。
福島の復興と地方創生は、現役世代の力だけで実現できるものではありません。こうした本県の将来を担う子どもたち、若者たちの夢や挑戦を大切に育みながら、誰もが豊かさや幸せを実感できる未来を創り上げるため、私はこれからも全力で挑戦を続けてまいります。
令和6年度決算見込みについて
次に、令和6年度一般会計の決算見込みについて申し上げます。
令和6年度予算につきましては、これまで続けてきた挑戦を更に「シンカ」させ、複合災害からの復興と「福島ならでは」の地方創生を一層加速させていくための当初予算に加え、2月に発生した大雪など自然災害への緊急対応、さらには原油価格・物価高騰への対応など、喫緊の課題に対応するため、11度にわたる補正予算を編成してまいりました。
この結果、一般会計の決算見込額は、歳入で1兆2千727億円、歳出で1兆2千340億円となり、その差額である387億円から翌年度への繰越事業に充当すべき財源309億円を差し引いた実質収支額で、78億円程度となる見込みであります。
令和6年度予算につきましては、これまで続けてきた挑戦を更に「シンカ」させ、複合災害からの復興と「福島ならでは」の地方創生を一層加速させていくための当初予算に加え、2月に発生した大雪など自然災害への緊急対応、さらには原油価格・物価高騰への対応など、喫緊の課題に対応するため、11度にわたる補正予算を編成してまいりました。
この結果、一般会計の決算見込額は、歳入で1兆2千727億円、歳出で1兆2千340億円となり、その差額である387億円から翌年度への繰越事業に充当すべき財源309億円を差し引いた実質収支額で、78億円程度となる見込みであります。
提出議案について
次に、提出議案について御説明申し上げます。
令和7年度一般会計補正予算案につきましては、米国の関税措置により懸念される影響への対策を始め、国の電気・ガス料金支援と連動した県独自の取組、高校無償化への対応など、緊急に措置すべき経費を計上いたしました。
これによる一般会計補正予算の総額は、70億5千1百万円となり、本年度予算の累計は1兆2千888億5千万円となります。
その他の議案といたしましては、条例が「福島県税条例の一部を改正する条例」など13件、条例以外の議案が「公立大学法人福島県立医科大学の定款の一部変更について」など14件で、いずれも県政執行上重要な案件であります。
慎重に御審議の上、速やかな御議決をお願い申し上げます。
令和7年度一般会計補正予算案につきましては、米国の関税措置により懸念される影響への対策を始め、国の電気・ガス料金支援と連動した県独自の取組、高校無償化への対応など、緊急に措置すべき経費を計上いたしました。
これによる一般会計補正予算の総額は、70億5千1百万円となり、本年度予算の累計は1兆2千888億5千万円となります。
その他の議案といたしましては、条例が「福島県税条例の一部を改正する条例」など13件、条例以外の議案が「公立大学法人福島県立医科大学の定款の一部変更について」など14件で、いずれも県政執行上重要な案件であります。
慎重に御審議の上、速やかな御議決をお願い申し上げます。