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県議会定例会(令和2年9月)

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年9月18日更新

令和2年9月福島県議会定例会知事説明要旨(令和2年9月18日)

 9月県議会定例会が開催されるに当たり、当面する重要な議案を提出いたしました。
 以下、そのあらましについて御説明いたしますが、それに先立ち、令和2年7月豪雨、令和2年台風第10号、さらには7月30日に郡山市において発生した爆発事故によって亡くなられた方々に対し、深く哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた皆さんに心からお見舞い申し上げます。
 また16日、新たに菅内閣が発足いたしました。菅総理には、これまでも、様々な機会を通じて、福島が抱えている困難な課題に耳を傾けていただき、福島の復興・創生に真摯に御対応いただいたところであります。このように本県の実情を熟知している方、地方をよく理解し、地方創生を牽引してきた方が、我が国の新たなリーダーになられたことを大変心強く感じております。菅総理には是非とも、福島に足を運んでいただき、県民の皆さんの声や地方の思いを受け止めていただくとともに、全閣僚一丸となって福島の復興と地方創生の推進に力を尽くしていただくことを期待しております。

 続いて、県政の諸課題等について所信の一端を述べさせていただきます。

新型コロナウイルス感染症の状況と県の対応について

 はじめに「新型コロナウイルス感染症対策」について申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症につきましては、7月に入り、首都圏や関西圏等の都市部を中心に新規感染者が増加し、現在、こうした地域から全国各地に感染が広がっている状況にあります。
 福島県においても、5月に「福島県緊急事態措置」を解除して以降、大幅な感染拡大が抑えられている状況にありましたが、7月以降、全国的に移動の自粛が解除される中、断続的に新たな感染者が確認され、8月に入ってからはその数が大幅に増加するなど、厳しい状況が続いております。
 クラスターの発生を含め、感染者が連日確認されている現状を踏まえると、改めて、県民の皆さん、事業者の皆さんには、「新しい生活様式」の実践や「ガイドライン」の点検とその遵守・徹底など、基本的な感染症防止対策をお願いするとともに、引き続き、感染状況等の継続的な監視、検査・医療提供体制の充実強化を図り、感染拡大に警戒しながら、状況に応じた対策を速やかに講じていくことが極めて重要となります。
 このため、今期定例会におきましては、感染拡大防止や医療提供体制の拡充を図るため、医療機器の整備、入院病床の確保、移送体制や検査体制の強化などに向けて、重要な予算案を提出したところであります。
 現在、ウィズコロナの中で、感染拡大を防止しながら、社会・経済活動を維持、回復していくという大変難しい対応が求められております。引き続き、国、各都道府県、市町村を始め、医療関係者、経済界など、関係機関と連携しながら、その両立に向けて全力で取り組んでまいります。

東日本大震災からの復旧・復興について

 次に、「避難地域の復興・再生」についてであります。
 今月20日に、「東日本大震災・原子力災害伝承館」が開館いたします。伝承館では、「収集・保存」、「調査・研究」、「展示・プレゼンテーション」、「研修」の4つの事業を柱に、複合災害の経験と教訓を国や世代を超えて未来に継承し、復興に向けて挑戦を続けている福島の今を発信してまいります。同じく一部の供用を開始する「福島県復興祈念公園」と一体となって、未曽有の複合災害を感じ、考え、その教訓を伝え、いかしていく場として、多くの方々に来館していただけるよう、常に進化する伝承館を目指してまいります。
 6月の復興庁設置法や福島復興再生特別措置法等の改正に続き、7月には第2期復興・創生期間における事業規模と財源が決定され、福島の復興を切れ目なく進めるための体制・制度・財源が確保されました。
 また、先月末に開催された福島復興再生協議会においては、国に対し、移住等の促進や交流人口の拡大、営農再開の加速化などによる避難地域の復興・再生、風評・風化対策の強化、さらには国際教育研究拠点の構築を始めとする福島イノベーション・コースト構想の推進など、福島の復興を更に前へと進めるために特に重要な7項目について、確実な予算化と制度の充実を求めてまいりました。
 そうした中、先般決定された与党の第9次提言に、国際教育研究拠点の新設など、本県が要望していた内容が盛り込まれたところであり、今後とも、福島の現状を丁寧に訴えながら、第2期復興・創生期間の初年度である令和3年度予算の確保に向けて、しっかりと取り組んでまいります。

 次に、「環境回復」について申し上げます。
 中間貯蔵施設事業につきましては、先月末に、環境安全委員会を開催し、施設の整備や除去土壌等の輸送、道路交通対策などの取組状況について確認を行ったところであります。また、環境省から中間貯蔵施設用地として提供の要請があった大熊町にある旧水産種苗研究所、旧栽培漁業センター跡地について、地上権設定により提供することといたしました。引き続き、事業が安全・確実に実施されるよう、関係自治体と連携しながら取り組んでまいります。
 福島第一原発及び第二原発の廃炉につきましては、今年度第一回の廃炉安全監視協議会や廃炉安全確保県民会議を開催するなど、第一原発の廃炉に向けた取組の進捗状況や第二原発の廃止措置計画などについて、様々な御意見等を頂いたところであります。今後とも、廃炉作業の安全かつ着実な実施に向けて、廃炉安全監視協議会等を通じて、国や東京電力の取組をしっかりと確認してまいります。
 先月27日、環境省との間で、自然資源の活用により交流人口の拡大を目指すふくしまグリーン復興構想を始め、福島の復興に向けた未来志向の環境施策を推進するため、連携協力協定を締結いたしました。今後とも環境省との連携を一層強化しながら、福島の復興と持続可能な社会づくりに取り組んでまいります。

産業政策について

 次に、「産業政策」について申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症は、県内産業に深刻な影響をもたらしております。このため、3年間実質無利子型の特別資金等による事業継続・雇用維持支援に取り組むほか、プレミアム付飲食店前払利用券の発行、福島県民向け宿泊割引、新たに山形、新潟県民を対象とした宿泊割引の実施や宿泊特典クーポンの配布、さらには、今月1日からの県内消費拡大策『オールふくしま買って応援キャンペーン』の展開などにより、事業者の皆さんの支援に力を尽くしてまいりました。今後は、県内労働者の就業機会を創出するとともに、スタートアップ企業の販路拡大への支援を強化するなど、引き続き、県内経済の回復に全力で取り組んでまいります。
 また、福島イノベーション・コースト構想を始め、福島の地で新たな産業を創出し、これを国内外に広く発信、集積していく取組も着実に前へと進んでおります。今年度は、ロボット、再生可能エネルギーなどの重点プロジェクトの推進や地域社会における課題解決を図るため、新たな事業の立ち上げを目指す企業等に対し、それぞれの段階に応じた助言・助成を行うなど、新産業の更なる育成・集積に向けた取組を進めております。これらに加え、福島ロボットテストフィールドを始め、整備を進めてきた各拠点施設の活用により、県内だけでなく県外からも多くの企業の参画を促進し、福島県全域での産業の再生・振興を図ってまいります。

風評・風化対策について

 次に、「風評・風化対策」について申し上げます。
 今年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、全国各地を訪問して県産品のおいしさを直接お伝えすることが難しい状況にあることから、リモートによるトップセールスやPR動画により、「ふくしまプライド。」が詰まったおいしい農産物を感謝の思いと共に各地へお届けいたしました。直接お伝えできなかったことは残念でしたが、卸売業の方々からは、「福島の農産物に期待している」、「一生懸命作られた農家の皆さんの思いも消費者へ届けたい」との声を頂いたところであり、県産品の品質の高さや関係の皆さんの熱い思いが伝わったものと確信しております。
 今回の取組を通じて、風評払拭と風化防止に向けては、これまでの活動をいかした対策と新型感染症などの現状を踏まえた新たな挑戦を、創意工夫しながら粘り強く続けていくことが大切であると改めて実感したところであります。このため、引き続き、直接発信することを大切にしながら、今後は、ウィズコロナの中で、風化防止と地域産業回復に向けて、福島の今を多面的に伝える動画を作成するなど、あらゆる手段を活用した取組を継続して進めてまいります。

県民の健康増進について

 次に、「県民の健康増進」について申し上げます。
 健康長寿に向けた取組は、現在のウィズコロナの状況の中で、県民の皆さんの生活環境の変化等に伴い、悪化が懸念される心身の健康を守ることはもとより、復興を更に前へと進め、希望と活力に満ちた福島を創り上げていく上で、何よりも大切です。
 そうした中、先月21日の県民の日に合わせ、これまで以上に楽しく健康づくりに取り組んでいただくため、「ふくしま健民アプリ」をリニューアルしたところであります。引き続き、県民の皆さんを始め、関係の皆さんの御協力を頂きながら、身近なところから始めることが出来る取組を積極的に進めてまいります。
 また、これらに加え、今年度から、市町村等の健康づくり施策に活用いただくため、福島県版健康データベースの健康データを科学的に分析することにより、二次医療圏別の健康課題を見える化する取組を行っております。今後とも、更なる分析を行うことにより、効果的な健康増進対策、疾病予防対策を進め、全国に誇れる健康長寿県を目指してまいります。
 県立矢吹病院につきましては、施設の老朽化や精神科医療の環境の変化に対応するため、「(仮称)こころの医療センター」として全面建替えを予定しているところであり、一昨日、起工式を執り行いました。児童思春期病棟の新設など病院機能の強化を図り、今後も県内唯一の公立精神科病院として先進的な医療を提供できるよう、令和4年度中の運営開始に向けて整備を進めてまいります。

農林水産業の再生について

 次に、農林水産業の再生について申し上げます。
 これまで生産者を始め、関係の皆さんと協力しながら、県産農林水産物の安全性や高い品質を広く発信し、国内外での需要拡大や新たな販路の開拓を進めてきた中、大手オンラインストアにおける県産品の売上額が、昨年よりも1か月半早く10億円を超えるとともに、ASIAGAPとJGAPの認証件数、農場数が共に全国3位となるなど、様々な取組が着実に成果となって現れてきております。
 また、先月末には、新しい県オリジナル米「福、笑い」のパッケージデザインを発表し、来年秋の本格デビューに先駆けて、11月から期間と店舗を限定して先行販売を開始することといたしました。今後とも、ふくしまの米のトップブランドとなる「福、笑い」のおいしさや魅力を積極的に発信するなど、県産農林水産物のブランド力の強化に取り組んでまいります。
 一方で、昨年秋の台風や記録的な暖冬の影響等により、今年は、県北地方を中心にモモせん孔細菌病が拡大し、過去に例のない被害となっていることから、福島のモモ産地を守るため、緊急的に防風ネットの設置や植え替えを支援するなど、関係機関と連携しながら総合的な防除対策を進めてまいります。
 新型コロナウイルス感染症は、牛肉や花き、ヒラメを中心に需要が減少するなど、大きな影響をもたらしたほか、米については、外食等の需要が大きく減少し、価格の下落が懸念されております。このため、オンラインストアにおけるキャンペーンの強化や公共施設・学校給食での活用による消費拡大、肉用牛農家の経営支援に取り組むとともに、主食用米から飼料用米への転換等による需要に応じた米づくりの推進に全力で取り組んでまいります。

子ども・若者育成について

 次に、「子ども・若者育成」について申し上げます。
 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、目標としていた様々な大会・イベントが中止となる中、関係の皆さんの御尽力により代替大会が開催され、多くの子どもたちが感謝の思いを胸に活躍してくれました。つらさや悔しさを乗り越え、最後まで粘り強く前向きに取り組んでいる姿は、県民に勇気と希望、感動を与えてくれました。震災と原発事故以降、これまでの困難な経験の中で培われてきた、きずなや感謝の心を大切にする思いが、この困難に立ち向かう大きな力になったものと確信しております。
 また、新型コロナウイルス感染症の影響は、児童や生徒の学びにも大きな影響を及ぼしております。このため、夏季休業期間の短縮やICTの活用等により、授業時間や学びの質を確保するなど、きめ細かな学習支援を行ってまいりました。
 今後とも、学びの保障など新型感染症対策に徹底して取り組みながら、子どもたちの夢や希望の実現に向けた環境づくりを行うなど、様々な困難や試練を克服し、挑戦し続ける福島ならではの子ども・若者の育成を進めてまいります。

インフラの復旧等について

 次に、「インフラの復旧等」について申し上げます。
 公共インフラにつきましては、7月に、防災緑地のうち最後となっていた原釜尾浜防災緑地が完成し、県内全てで整備が完了するとともに、先月2日には、東北中央自動車道伊達桑折インターチェンジ・桑折ジャンクション間が開通するなど、避難地域の再生を始め、物流促進、観光振興、広域連携などを支えるインフラ網の整備が着実に進んでおります。
 今後とも、関係機関と連携しながら、福島県の復興と、産業振興や地域活性化に向けて、高速交通ネットワークを始めとするインフラ整備にしっかりと取り組んでまいります。

令和元年東日本台風等に関する災害対応について

 次に、「令和元年東日本台風等に関する災害対応」について申し上げます。
 昨年10月の東日本台風等から間もなく1年を迎えようとする中、福島県緊急水災害対策プロジェクトに基づく災害復旧や河道掘削が、6割以上の箇所で着手するとともに、災害廃棄物のうち、被災家屋から発生した片付けごみの処理が6割を超えるなど、復旧を着実に進めているところであります。今後とも、早期復旧に向けスピード感を持って対応してまいります。
 そうした中、福島県台風第19号災害対応検証委員会による検証報告書が取りまとめられました。検証委員会からの御意見を踏まえ、引き続き、県の災害対応の強化に取り組むとともに、市町村等との情報共有体制の構築、「マイ避難」の取組の推進など、災害から命を守るための避難行動の促進を図り、災害対応に強い県づくりを進めてまいります。

地方創生・人口減少対策について

 次に、「地方創生・人口減少対策」について申し上げます。
 福島県の人口は、依然として減少傾向にあり、厳しい状況が続いている中、令和元年度の本県への移住実績が、前年度に比べ100世帯以上増加し、初めて500世帯を超えました。特に、40代以下の若い世代が8割近くを占めるなど、働き世代の増加が目立ってきております。
 こうした流れを更に加速させるため、これまでも移住セミナーの開催や情報誌等の活用、移住コーディネーターによる支援など、移住促進に向けた取組を進めてきたところであり、今年度はこれらに加え、首都圏からの副業人材を呼び込むため、県内企業等と首都圏の人材のマッチングを行うとともに、県としても都市部の専門的知識を持った方々を「福島に住んで。」アドバイザーとして任命し、副業として本県の移住施策に携わっていただく取組を開始いたしました。引き続き、多くの皆さんの御支援を頂きながら、将来的な移住につながる関係人口の創出など、移住・定住の推進に取り組んでまいります。
 今般の新型コロナウイルス感染症は、生活や仕事に対する価値観の変化をもたらしております。テレワークやワーケーションなどの多様な働き方により、地方への関心が高まり、今の仕事を変えずにリモートで働きながら地方で生活する、観光地で働きながら余暇を過ごすといったスタイルが広がるなど、新しい地方創生の在り方を生み出す大きな契機になるものと考えております。今後とも、本県の持つ首都圏との近接性や豊かな暮らしなど、移住先としての魅力を積極的に発信しながら、福島ならではの地方創生を全力で推進してまいります。

 今私たちは、新型コロナウイルス感染症に懸命に向き合い、新しい日常を模索しながら、日々の暮らしや仕事をすることを余儀なくされております。県においても、東日本大震災と原発事故からの復興・再生、令和元年東日本台風等からの復旧、地方創生・人口減少対策など、大きな課題を抱える中、あらゆる分野において、新型感染症という新たな課題を常に頭の中心に置きながら取組を進めていくことが求められております。
 そうした中、リモートによる取組など、これからの時代に対応した新しい仕事のスタイルを作り上げていくことも、もちろん重要となりますが、一方で、この困難な状況の中にあっても、知恵を絞り、工夫を凝らしながら、多くの方とお会いして直接お伝えすることも、県政を前に進める上で大きな力になるものと改めて感じております。
 今後とも、ウィズコロナの中、これまで積み重ねてきた取組を不断に見直し、最大限の効果を発揮するためには何が必要なのかを常に意識しながら、この難局を乗り越え、福島の新しい未来を形作るための挑戦を続けてまいります。

令和元年度決算について

 次に、令和元年度の決算について申し上げます。
 令和元年度予算につきましては、復興の加速と福島ならではの地方創生に取り組むための当初予算に加え、令和元年東日本台風等による災害からの復旧や生活再建に向けた取組、さらには、新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応など、喫緊の課題に対応するため10度にわたる補正予算を計上し、年度間を通して適切な執行に努めてまいりました。
 これにより、一般会計の実質収支は83億8千2百万円となったところであります。

提出議案について

 提出議案について御説明を申し上げます。
 令和2年度一般会計補正予算案につきましては、新型コロナウイルス感染症対策として、入院病床の確保や介護サービスにおける感染防止対策への支援、地域公共交通機関への奨励金の支給、離職者等の就業機会創出や農業者の収入保険加入促進、令和元年東日本台風等災害への対応として、河川の復旧や防災力強化、そのほか、モモせん孔細菌病による被害への緊急対策、感染症の影響による事業の中止や組替え等に伴う減額補正などについて計上いたしました。
 これによる一般会計補正予算の総額は、147億7千8百万円となり、本年度予算の累計は、1兆5,726億2千1百万円となります。
 特別会計等補正予算案につきましては、福島県奨学資金貸付金特別会計につきまして、所要の経費を計上いたしました。
 その他の議案といたしましては、条例が「福島県新型コロナウイルス対策特別資金基金条例」など11件、条例以外の議案が「工事請負契約について」など23件で、いずれも県政執行上重要な案件であります。
 慎重に御審議の上、速やかな御議決をお願い申し上げます。

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